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51.唯香の雑記1

・1日目


何が起きたのかわからない。

私は【占い師】と役職を与えられているみたい。


ピエロ男さんは、ダンジョンの30階まで行けば私達は無事に脱出できるみたい。

ただ、【人狼】という職業がクラスメイトの中にいて、夜な夜な市民班を襲うらしい、クラスメイトのみんなが殺し合いなんて考えられない、きっと大丈夫。


ダンジョンの探索には、 クラスのリーダーの小西君が率先して動いてくれた。

彼等に任せておけば大丈夫だろう。


佐々木君と人吉君だっけ?

いつも教室でゲームの話ばっかりしてる二人組、その二人も別パーティとして探索に加わるらしい。


・2日目


役職持ちの中に、嘘をついて狼がいたら怖いので役職持ちからまずは占うことにした。

探索に出てた小西君達が帰ってきたけど、市民班に探索の利益を出せないと言い始めた。


そんな事を言う人だとは思ってなかったけど?

市民班全員が小西君達を吊るし上げている最中にもう一つの探索パーティが帰ってきた。


案の定、人吉君が集中し過ぎて戻ってくるのが遅れたらしい。

一階でしか、二人は探索できてないって言ってたけど、物凄い量のドロップを机の上に置いて行ってくれた。


えっ、佐々木君達のパーティの稼ぎで作る新装備を小西君達が貰うと主張している。

えっ、市民班にお金落とさないのに、小西君それはないんじゃないかな。

えっ、人吉君その条件を飲んじゃうの? えっ、なんで?  へんな人。


・3日目


占いの結果で人狼が見つかった。

大事になり過ぎていて、探索班の一人が私達に注意してくれた。

野瀬さんは、オタクの片割れの言う事なんて無視でいいよと言っていたが、彼の言っていることは正しいような気がしたので彼の部屋に謝りにいった。


彼は、このクラスメイトの中で一番状況が飲み込めている人って感じだった。

彼が私に好意を持ってるって話を聞いたことあるので、ちょっとズルいのかもしれないけど、色々と役に立ってくれる人かも?


・4日目


【人狼】の彩子さんが死んだ。

私達のクラスメイトで初の犠牲者だ。もう一人の占い師が彼女を【人狼】だと宣言したからだろうか?


市民班では、人狼による口封じだ等いろんな説を言っている人がいた。

彼女は、【人狼】である事に耐えきれなくなったんだろう。

私達、市民班が彼女を殺したようなものなのかもしれない。


今日は私が占う番だし、【黒】が出なければいいけど。


悪い予感が的中しちゃった。

能丸君が【人狼】と、占い結果が出ちゃった。


能丸君が人狼である事を会議で宣言したら、【霊能者】の祈里さんと【人狼】の能丸君とで言い争いになっていた。 能丸君が明らかに頭にきていたみたいで、祈里さんが襲撃されそうで心配だった。


その日、以降……祈里さんを見かけなくなった。

探索班はダンジョンに探索に出ているが、市民班はみんなで生活をしている。

いつもなら、祈里さんも食事やお風呂では会うんだけどな?


・5日目


探索班が帰ってきた。

その翌日の会議で祈里さんの件は全て解った。

あの日は、【人狼】が祈里さんを襲撃していた。


私が能丸君が【人狼】である事を宣言したからこうなったのかな?

私が二人を殺したの? 違うよね? 役職の仕事をしただけだよね?


正直、訳が分からなくなって、誰に頼っていいか分からなかったから。

現状、一番詳しいであろう人吉君に今回の件を聞きに行った。


人吉君にゲームの駒になってたらダメだと言われた。


その後に、とんでもない告白をされた。

【人狼】の本人から自ら役職を告げられた。

コレは、私を襲撃しないという意思表示と考えた。

それと、彼にとって市民班の人間を試す部分もあったのだろう。


その翌日、私は襲撃されなかった。

本当に、【人狼】はクラスメイトを襲う気がないんだと理解できた。

ちょっとだけ人吉君って人が理解できたし、彼の秘密を知れたから彼の呼び方を少しだけ変えた。

女性に慣れていないのか戸惑っていてなんか可愛かった。


・6日目


拓郎君の友人の佐々木君が会議の最中に【人狼】である事をカミングアウトした。

その日は誰も処刑されなくて済んだ。


・7日目


【人狼】の二人が、探索班に協力して無事に30階までダンジョンの探索を完遂させた。

いつもなら、1日休憩を入れてから昼の会議が始まるのだけど、その日はダンジョン探索終了と同時に昼の会議が始められた。

議題は【人狼】の佐々木君を処刑するか否かだ。


私は、ここまで協力してくれたクラスメイトを処刑なんて考えれなかったけど……

クラスのみんなは違ったみたいで、なんでも好きな願いを叶えれるという話に多数の人間が乗ってしまった。


拓郎君を除く、探索班が力ずくで佐々木君を拘束して、すぐさま処刑台に立たせ遺言も言わせず私欲の為に処刑を行なった。

佐々木君が処刑されるのを拓郎君が止めようとして、佐々木君がそれを諌めるのに気づいたし、何もできず友人が死んでいくさまを見続けて涙していた【人狼】の彼が可哀想に思えた。


・8日目


クラスメイトの誰かが……

みんなに対して恨みを持っているみたい。

それが原因で、元の世界に帰ることができず再びダンジョン攻略を続け羽目になったみたい。


誰が一番あの状況を悲しんでいたのかを私は知っている。

多分、【呪いに近い願い】を書いたのは彼だろう。


そんな、役職振替の後の初の会議で彼はすぐに処刑位置に上がった。

理由は、前回のゲームで【人狼】だったからだ。


彼は処刑位置に上がりながらも、その状況を何事もないかのように回避していった。

あの絶望的な状況から回避できるなんて、この人凄い。


拓郎君が処刑を回避したのが納得しなかった野瀬さんが必ず彼を占うようにと言ってきた。

まぁ、この場面で彼を占うのは流れとして当然だから占うけど……【黒】出たらどうしよう。


結果は【白】だった。

堂々とクラスメイトのみんなに結果を伝えることができる。


・9日目


拓郎君が探索から帰ってきた。

小西君達との探索がうまくいかなかったみたい。


これから先は拓郎君だけで探索をするらしい? 大丈夫なのかな?


昼の会議で、拓郎君が【白】である事をみんなに伝えたが、もう一人の占い師の野瀬さんが微塵も納得してくれなかった。


流石に私がみんなに嘘をついてると堂々と言われると少し嫌な感じだった。

コレが、【人狼】になった人達の日常なのかな?


それに対して、拓郎君が恐ろしい提案をしてきた。

【黒】を出した場合は、野瀬さんと拓郎君に狼がいるから、結果を明らかに騙っている野瀬さんを先に処刑したら、自分の自身の処刑を飲むと言うのだ。


正直、正気じゃないと思った。

このクラスで、そんなことできるのは拓郎君ぐらいのものだろう。


その結果、拓郎君は本日の処刑を回避した。


・10日目


案の定、【白】を拓郎君に出した為、軽く戦犯気味になった野瀬さん。

拓郎君は占いで完全に【白】になったので、躊躇なく市民班の人間を次々と会議のたびに吊り押していった。


拓郎君はどうして、クラスメイトを処刑する為に吊り押したりできるの?

……と、言いたくなるが彼はその位置に初日から立たされていたのだ。

文句等言える人間がいるはずがない。


会議での処刑→襲撃と繰り返されるたび私はとある事に気付いた。

処刑と襲撃の犠牲者は佐々木君に投票した人間だったのだ。


ここまで、計画を考えられたような状況を作れるのは、この状況を理解している人間が怪しい。

やっぱり【人狼】は、拓郎君じゃないかな? と思った。

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