表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/57

52.唯香の雑記2

 ・15日目


 探索班が会議の最中言い争いを始めていた。

 

 市民班のために資金の大半を提供してくれている拓郎君が一人で40階まで探索を進めていて、それに対して【勇者】である小西君達が45階まで進んでいると言う件だ。


 探索班の詳しい事はわからないけど、小西君達はズルをして45階まで進んでいるらしい。

 拓郎君が40階まで進んでいると言うのが嘘だと小西君達は言うけど、私達は拓郎君が40階に進んでいる事をドロップアイテムや稼ぎという成果で理解している。


 むしろ、胡散臭いのは小西君達の45階までの攻略についてなのだ。


 そんな中、小西君が頭にきたのか【勇者】の権限を振りかざして、拓郎君を処刑しようとした。

 日頃の行いのせいで、みんなから賛同を得られなかった。

 むしろ、小西君達は冷たい目でみんなから見られていた。


 それで、拓郎君がステータスの開示をしようと提案してきた。

 ステータスって個人で確認はできないみたいで、【占い師】が確認できるみたい。


 拓郎君は私に依頼をしてきた。

 小西君は野瀬さんに依頼したみたい。


 私の部屋に拓郎君が、ステータス確認のためにやってきた。

 緊張もしているのだろうが、何かに怯え動揺しているような姿にも見えた。


 正直、小西君達より市民班としては、彼の方が重要だと思っているし。

 彼が人狼だったとしても私は彼が【人狼】だと言うつもりは無かった。


 彼に死なれると市民班の生活が立ち行かなくなるし、それが原因で悲惨な結果が起こりかねないと考えたからだ。


 それに彼が【人狼】だとしても、彼が私に好意を持っている事が明らかだったし。

 それは、彼の好意の件はかなり前から知ってたけどね。


【人狼】の件、ステータスを確認する前に聞いた。


 彼は、観念したかのように【人狼】である事を自白した。


 やっぱり、そうなんだ。

 クラスメイトのみんなに不満はあるけど、それでもみんなのために動いてくれてる彼が【人狼】。

 たしかに、彼は【人狼】で佐々木君の仇打ちで人も殺めた。

 それ以上に、みんなが彼らを傷つけた結果が仇打ちという形になっただけだと思う。


 私は、クラスメイトのみんなに結果を騙ろうと決めた。


 そこから、彼のステータスを確認して本当に一人で40階まで進んでるって事を確認できた。

 素直にすごいなと思ったし、一人でこんなに頑張ってくれて感謝さえできた。

 私なりに、彼には結果を騙るよと伝えたつもりだったけど……伝わってなかったみたい。

 翌日の昼の会議で彼を見た時、恐怖に怯えた表情そのものだった。


 私が結果を騙ってあげた事に気づいた彼は高笑いをして小西君達に指摘を入れていった。


 昼の会議の後に拓郎君の部屋を訪ねて、色々話をしていたら彼に告白された。

 私は、ここまで尽くしてくれてる彼に【NO】と言う言葉は言えなかったので、すぐに返事を言おうとしたら彼がそれを拒んだ。


 結果をこの場で聞くのが怖いって!!


 私は【OK】出すつもりだったのに……もう。

 私なりに、彼に対しての返事を行動で見せてあげた。

 頬にキスをされた彼は案の定ポカンとしていたし……。

 私も恥ずかしかったので彼の部屋を逃げるように出て行った。


 そこからは、昼の会議で占い師の野瀬さんがリアルタイムで襲撃されて、その時の映像があまりにも酷すぎて怖くなった。

 この状況で一番信用できるのは拓郎君だと思うし、ピエロ男さんの毒に彼が壊れてしまいそうな気がしたのもあって、私は彼に同室で寝ることをお願いした。

 そこからは、【人狼】である、彼の苦労を知りたいと思って私も探索に出たり、色々と行うことになった。


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・



 ・最終日


 ダンジョンをクリアした直後に、あの人が市民班のみんなに裏切られて、処刑位置に入った。

 あの人は、ピエロ男さんがいった通り寂しがり屋な部分があると思う。

 敵であるハズのゲームマスターとでさえ、会話をしたがっていたのだ。

 そんな、あの人が直接の処刑ではなく精神的に壊されていくのは見ていて辛かった。


 真っ暗な世界で誰もいない、そんな世界で最後まで、声を出してみんなを読んで誰も気づいてもらえない。

 最後にはすでになくなった人間の名前まで呼ぶ始末だった。


 その後、彼は声を出す事なく彼は倒れていた。

 この段階で、ピエロ男さんは市民班の勝利と判断して願いを書いて部屋にあるポストに投函しろと言ってきた。


 私は自室に入り、私の願いはなんだろうと考え始めた。


 本当に、クラスメイトのみんなが信じられない。

 こうやって、あの人は【人狼】になってしまったんだろう。


 私はあの人みたいに強くなれないから、【元の世界に帰りたい】とだけ書くしかできない。

 あの人が私を助けるために命をかけてくれたから、それを無駄には出来ないから。


 ・一つ目の願いは、私のことを本当に大事にしてくれる彼氏が欲しい


 あの人が私と一緒に元の世界に帰ってくれたら、命がけで私の為に尽くしてくれる人って解ったのにな。


 ひとまず、無事に帰る為の文章を書いてポストに投函しようとした。


 その時……


 拓郎さんからメールが届いています。


 ……と、モニターが付いて私宛てにメールが来ていることを教えてくれた。


 あの人は、こう言う時どうしてたっけ?


「ねぇ? ピエロ男さん 、コレって?

 どう言うこと?」


 私しかいない自室で、ゲームマスターであるピエロ男に話しかけた。


「はははは、キミまで人狼君のマネかい?

 いいよ、教えてあげるね。

 このメールはね、人狼君がこの状況を予想していたんだよ。

 人狼君の願いをダンジョンクリアまで叶えないのを条件として、最終日に君にメールを届けて欲しいってね。

 だから、最後に君はそのメールを見てあげれば?」


 そう言葉を残して、ピエロ男さんの声はフェードアウトしていった。


 私のことが好きと言う気持ちだけで、あの人は本当に命懸けで私を守ってくれたんだ。

 なんか、胸の奥が痛い気がする……涙が出てきた。


 見てみようかな。

 私が彼の仇打ちなんてことはできないけど、彼の気持ちは知っておきたいと思った。



 山下唯香 様


 こんな形で、メールを送ることになってゴメンね。

 このメールを唯香が見ているのなら、僕は最終日に処刑されたのかな。


 元の世界に帰って、唯香と一緒にデートとかしたかった。

 それだけが心残りかな。


 けどさ、僕は君を守れたと思うんだ。


 だから伝えておくね。

 君は僕の仇とか一切考えずに、このダンジョンから脱出することを第一に考えて下さい。

 最後になるけど、僕は唯香のことが大好きだ。

 だから【人狼】の僕の事は忘れて幸せになって下さい。


 人吉拓郎


 ……と、短いながらも、彼の思いが書かれたメールが送られていた。


 うん、大丈夫……仇打ちはしないよ。

 けど、キミと一緒に帰れたらよかったな。


 あっ!! ピエロ男さんは壊れたとは言ったけど、死んだって言ってなかったよね。


 それなら……!!


【拓郎君と一緒に元の世界に帰りたい】


 ……と、願いを書きなおして部屋の備え付けのポストに投函した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


▼ 1ポチ、協力お願いします。 ▼
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ