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次元破断の魔術師  作者: 秋原
炎術師の森

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プロローグ

 

 熱いものが頬を(こぼ)れていく。

 止め()なく、いつまでも流れていく。


「なんで……。どうして……」


 最善を尽くした。

 全力を賭けた。

 もう一度やれと言われても二度とできるはずがない。それほどの奇跡的な確率で、あの局面を乗り越えた。

 刑部(おさかべ)さんが言うように、自分自身を誇るべきだ。(たた)えるべきだ。一生懸命やったと胸を張るべきだ。


 だが、それでも――

 それでも、目の前にあるのは――


「なんで………」


 何が足りなかったのだろう。

 何が間違っていたのだろう。

 確かに(つか)んだ。そう、掴んだはずだ。

 そして、今も掴んでいる。

 だけど――


 過酷な現実が突きつける。

 おまえは無力だと。

 何もできないのだと。


(ああ、そうか……)


 唐突に理解する。

 人はなぜ泣くのか。

 それは、ただ、それしかできない時があるからだ、と。




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