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プロローグ
熱いものが頬を零れていく。
止め処なく、いつまでも流れていく。
「なんで……。どうして……」
最善を尽くした。
全力を賭けた。
もう一度やれと言われても二度とできるはずがない。それほどの奇跡的な確率で、あの局面を乗り越えた。
刑部さんが言うように、自分自身を誇るべきだ。讃えるべきだ。一生懸命やったと胸を張るべきだ。
だが、それでも――
それでも、目の前にあるのは――
「なんで………」
何が足りなかったのだろう。
何が間違っていたのだろう。
確かに掴んだ。そう、掴んだはずだ。
そして、今も掴んでいる。
だけど――
過酷な現実が突きつける。
おまえは無力だと。
何もできないのだと。
(ああ、そうか……)
唐突に理解する。
人はなぜ泣くのか。
それは、ただ、それしかできない時があるからだ、と。




