187/367
一八六 剣
アクは兵士たちの屍を避けながら広場南口の戦闘に突っ込んでいくと、ふとそこに鈍く光る剣を見つけた。
「なんだこれは」
アクはその剣に呼ばれた気がして思わず拾い上げる。
その剣の柄を握ると、不思議な力が湧いてくるのを感じた。
アクが無意識に辺りを見回すと、少し離れた場所に、頭部のないの霊兎の屍が転がっていることに気づいた。
左腕に巻かれた茜色のバンダナ。
その傷だらけの体から漂う哀愁のようなもの。
まさか・・・
アクの目に浮かんだのは、イスタルの広場で茶髪の娘の死に慟哭する亜麻色の霊兎の姿だった。
アクは寂しげな笑みを浮かべると、
「ならば、お前と一緒に戦うことにしよう」
そう呟き、自分の持っている剣を捨てた。
そして、アクはギルが落とした剣を握り締め、
「うぉおおお!」
神兵に向かっていくのだった。