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一二〇 会いたかったなぁ
「えっ」
タヌとラウルは家に帰ると、テムスとラーラの二人からシールとマーヤのことを聞かされた。
二人は目を丸くして驚いた。
「ああいう美しい娘さんは、イスタルでは見たことないわ」
ラーラは目を輝かせてそう言い、
「二人とも、とても感じのいいお嬢さんだったな」
テムスは目を細め、二人のことを褒めるのだった。
「二人は元気そうだった?」
タヌが訊くと、
「ええ。元気そうに見えたわよ」
ラーラは笑顔で答え、
「会いたかったなぁ・・・」
ラウルがため息交じりに呟くと、
「会えるさ、いつか必ず」
テムスは二人に向かって優しく声をかけた。
テムスの温かな声が二人の心に触れる。
「うん」
ラウルは泣きそうな顔で頷き、
「そうだね」
タヌは寂しそうな笑み浮かべた。
そんな二人に、
「元気だしなさい」
ラーラはそう言って微笑むのだった。