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一一九 サウォの屈辱
サウォは言った。
「蛮兵が四十名も斬り殺された。監視団本部に対しては、今までラビッツによる蛮兵襲撃を隠してきたが、これ以上隠せるものではない。監視団本部に対し、ラビッツの存在を明らかにした上で増兵してもらう」
サウォは怒りの眼差しでコンドラを睨みつける。
コンドラはサウォの怒りなど気にもしない。
「今は困ります。せめて服従の儀式の後にしていただけませんでしょうか」
コンドラは慇懃無礼にそう言って、軽く頭を下げた。
「それはできない」
サウォはきっぱりとそれを断った。
コンドラはため息をつくと、
「ならば、仕方がありません。私もリザド・シ・リザドへ報告させていただきます。イスタルの監視団によって、罪なき霊兎に対し罪の宣告が行われたと」
コンドラは申し訳なさそうに言ったが、その顔はサウォを見下し笑っていた。
結局、その事がある以上、サウォはコンドラに逆らうことはできないのだった。
「くっ・・・」
サウォは悔しそうにコンドラを睨みつけ、そして黙り込む。