13.姉妹を食べる
「ルナさんが僕の加護?」
「ええ、そうです。私自身がソラさんの加護です。だからこれから一生一緒ですね♪」
「えっでも、ルナさんは人間ですよね!? 人間の加護なんて聞いたことないですよ!?」
「うーん。人間というのはちょっと違いますね。どちらかというと私は精霊に近い存在です。ただ食べたり寝たり機能としては人間と同じです。ちなみに好きな食べ物はラズベリーパイです!」
「あっ、わかりました今度ヨルちゃんに作ってもらいます……って、そうじゃなくて! こんなことってありえるの? 聞いたことないよ」
「ありえるありえないって言われると現に私がこうしているわけですから。それに私のようなタイプの加護は他にもいますよ」
「えっ!?」
「先程も申しましたが私はこのナイトランドを守る『月』のユグドラシルの娘です。つまりこの世界に8本存在する各ユグドラシルもそれぞれ特別な実をつけることがあります。それを食べた人は私と同じように人型の加護を授かっているはずですよ」
「ルナさんと同じ加護があと7つ」
「ええ、そうです。いわば私の姉妹ですね。実はその子たちに会うのが私の目的の一つだったりします。まだ誰にも食べられてないって可能性はありますけどね。その時はソラさんに私のお姉ちゃんも妹も食べて貰っちゃおうかなって思ってたりします。てへっ♡」
「食べて貰うって、だって命の実は一人一つまでしか食べられない決まりでしょ。もし二個目を食べたらその人には神罰が下るって」
「ええ、その通りです。でも私達は特別なんです。さっきも言った通り私達はユグドラシルの娘であり、姉妹なんです。言い換えると違う実でありながらも中身の成分はほぼ同じ、世界で唯一二つ以上食べられる実なんです。だから私を食べたソラさんは私の姉妹も食べることが出来ちゃうんです」
「ルナさんの姉妹を僕が食べる……」
「そうです。他の姉妹たちは私と見た目も性格ももちろん与える加護も違います。私の姉妹を食べてくれたら必ずソラさんの力になることをお約束します。だから今後、私の姉妹に出会うことがあったら躊躇わず食べてあげてくれませんか?」
その言葉に理解が追いつかずフリーズする。
自分が加護を授かれたこと、その破格の能力、美女の姿をした命の実、それに他にも同じタイプの実が存在していてそれらは二つ以上食べることができる。
その全てが常識外も良いところだ。
ソラが固まってしまうのも無理はない。
だがそのソラの姿を見たルナはそれをソラが自分の姉妹を食べる事を嫌がってるのだと思い心配そうな顔で
「あの、ダメですか? 私の姉妹は食べてくれませんか? みんなかわいいですよ?」
困り眉でそう尋ねる。
「その、嫌とかってわけではなくて頭が理解に追いつかなかっただけです」
「それじゃあ私の姉妹も食べてくれるんですか!」
「ま、まあ。その時にもよりますけど。僕なんかで良ければ食べさせてもらいます」
「ソラさんならみんな大喜びですよ! 文句言う子がいたらちゃんと私が叱って食べられるようにいいます」
「そこまでしなくても……それよりなんでそんなに僕に食べて欲しいんですか?」
「それは強い人が必要だからです」
「強い人? いったいなんで強い人が必要なんですか?」
「それはこの世界がもう長くはないからで……ッ!? ちょっと待ってくださいソラさんあそこに何かいます」
そう言ってルナが指差したのは大きな岩だった。
目を凝らして見ると確かに岩の隙間から何かが蠢くのが見て取れた。
今の動けない状況での魔物遭遇。必死に生き延びた矢先の出来事に冷たい汗を流しながらナイフを引き抜いた。
世界には月、火、水、風、砂、闇、光、空の8種類のユグドラシルが存在します。
そしてユグドラシルの属性によって実る命の実の加護に偏りが生じます。
ちなみに月のユグドラシルに実る命の実は身体強化や感覚強化などの自身の持つ何かを強化する加護を宿す事が多いです。




