【二十一、メッセージ】
毎年七月七日の七夕にSF短編を投稿するという『七夕一人企画』を実行しています。今年もなんとか「星に願いを・2016」をお届けできそうです。七夕の「織姫と彦星の物語」に因んだSF短編をご堪能くださいませ。【七夕一人企画・2016】
ボクの愛しいオーリヒへ
オーリヒ、久しぶりだね。
ボクは相変わらず忙しいけれど、元気に過ごしているよ。
オーリヒは元気かい?
いや、この質問は変だよね。
このメッセージを聴いているってことは、オーヒリの身の上に大変なことが起こったってことだから。
大丈夫だったかい?
こうしてボクのメッセージを聴いているのだから、オーリヒはそのアクシデントを無事に乗り越えたってことだよね。
ボクは全く安心しているから、オーリヒ、ボクに気遣いは無用だよ。
それにしても君は、時々向こう見ずな行動をとることがある。そんな君のことが、ボクはとても心配で仕方がない。
いつでも、どこからでも、すぐに君のところに行きたい。君のところに行って、ボクは君を抱きしめたい。
けれども天帝との約束で、年に一度しか君に会うことを許されていないのはご存じの通りだ。
唯一、君に会える時なのに、このボクは政府の官僚やギルドの幹部と重要な交渉の真っ最中で、ボクの離脱をこの場の情勢がどうしても許さない。
それがボクにはとても口惜しくて。
だからボクは、ボクの分身を君のもとに送ることにしたんだ。
ボク自身が中心にかかわって造り上げた『キーン』の出来具合はどうだった?
ものすごい造り込みをして頑張ったのだから。
アクティにもずい分と無理とむちゃを言って、いろいろなことを頑張ってもらった。
感謝しないといけないね。
ボクの代わりにはならなかっただろうけれど、キーンはそれなりの働きをしたのかな?
え?
ボクより『いいオトコ』だったって?
それはちょっと悔しいなぁ。
それでもいいんだ。
オーリヒの助けになれたであれば、それだけでボクはとてもうれしい。
オーリヒ、ボクは君に会えることを楽しみに頑張るよ。
だから、オーリヒも頑張って。
ルキァのところでしっかりと研鑽を積んでほしい。
君の、意欲的な新しい作品を期待しているから。
それじゃあ、また。
いつまでも君の愛しい人でありたい男、ケーン・ギュ
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
【七夕一人企画の宣伝】
毎年七月七日に個人で勝手に騒いでいる『七夕一人企画』です。
今年で十年の節目を迎えるこの企画、一人で勝手に七夕SF企画なのですが、自分の小説が毎年一つずつ積み重なっていく楽しい企画です。




