【十二、四号】
毎年七月七日の七夕にSF短編を投稿するという『七夕一人企画』を実行しています。今年もなんとか「星に願いを・2016」をお届けできそうです。七夕の「織姫と彦星の物語」に因んだSF短編をご堪能くださいませ。【七夕一人企画・2016】
「ボシューッ!」
発射されたロケットアンカーに取り付けられたケブラーワイヤーが放物線を描きながらネペンドンの緑の小山を越えていく。
「ドカッ!」
鈍い音をさせてネペンドンの反対側の地面に突き刺さったロケットアンカーは、さらに数秒間モーターを噴射させて完全に地面の中に埋まった。それと同時に発射側のウィンチがケブラーワイヤーを巻き取り始めた。テンションをかけられたケブラーワイヤーがネペンドンにキリキリと食い込んでツルの塊がバサバサと音を立てた。
ブリーフィングに従い、昼間のうちにネペンドンを固定しておく作業を、二日酔いでくたばっているアクティを除いた三人で行っていた。一体につき三本のケブラーワイヤーを使い、三方向から六角形の中心線のようにして、それぞれのネペンドンを固定した。
「これでネペンドンの固定は完了しました」
作業を終えたキーンが、私とルキァに報告した。
「こんなアバウトな留め方で大丈夫なの?」
私は心配になってキーンに質問した。
「完全に覆ってしまう固定方法が間違いなく確実なのですが、それではネペンドンが捕食行動を起こせないですから。われわれの狙いは『節』にあるので、それをネペンドン自らが露わにしてくれる方策をとるのが一番かと」
「なるほど」
「ネペンドンが暴れ出して、万が一にもケブラーワイヤーが切れた時には、ブリーフィングで説明した通り、ブタドックリに装備された『フレーム・スロアー(火炎放射器)』で焼き払います。なるべくならば、ネペンドンを倒さないで染料を採集するのが理想です」
「そして、あたしはこの『ニードルホースショットガン』で『節』を狙うわけね」
気が急いているルキァは、すでにタンクを背負いショットガンを構えていた。
「そうです。それをやり易くするためにブタドックリ四体でネペンドンをかく乱します。ブタドックリは躯体内に『エセ・ヒッグスマシン』を搭載していて、疑似的に「グラビトン」を発生させます。それによってネペンドンが右往左往すると。この場所までネペンドンを誘導できたのもこの装置のおかげなのです。もちろん、ブタドックリ自体にも採集装置が組み込まれていますので、ルキァさんとオーリヒさんは安全な位置で安全に採集していただければOKですよ」
アクティのブリーフィングではイマイチ理解できなかったことをキーンが説明してくれて、私はキーンの解説をウットリと聞いていた。
「ちょっとやり易くなっちまった観はあるが、まあ見ていてくれ。この背中のタンクをいっぱいにしてやるぜ」
張り切っているルキァは、その扱いを確かめるようにショットガンを振り回していた。
「染料を採集した後、ネペンドンには森に帰ってもらいます。未開の星の生き物ですから、なるべく殺さないようにしたい。『節』が一つでも健在ならば、ネペンドンはまた復活するらしいという研究報告もありますから」
私は、知識が豊富で頼りがいのあるキーンにどうしてもウットリしてしまうのだった。誰かに似ているのよ、誰かに。
「ところでさ、『ブタドックリ』の口に色が付いているけど、あれは何かの目印なのか?」
ルキァがブタドックリを指した。
「ホントね。赤色と青色と黄色と緑色に塗り分けられているわ」
ルキァが指した方向を見て、私も色を口にした。
「えぇ、識別用に色を変えています。赤色が一号、青色が二号、黄色が三号、そして緑色が五号」
「あれ? なんで『四号』がないの?」
私は素朴な疑問をキーンにぶつけると、キーンからはよどみのない答えが返ってきた。
「はい、縁起が悪いから外したのだとアクティさんが言っていました。何でも太古の国ジャパニャンでは『四』は忌み嫌われていたらしいとのことです」
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
【七夕一人企画の宣伝】
毎年七月七日に個人で勝手に騒いでいる『七夕一人企画』です。
今年で十年の節目を迎えるこの企画、一人で勝手に七夕SF企画なのですが、自分の小説が毎年一つずつ積み重なっていく楽しい企画です。




