「彼」「彼女」は慎重に使う
「彼」「彼女」を乱用する小説家は、ネット小説は読んでるかも知れないが、紙の本は読んでいないと断言できる。
これはわたしが自分でも書いていて気づいたことでもあるが、「誤訳の構造」(中原道慶)を読んではっきりした。
「誤訳の構造」は、開成高校の先生が書いた本だが、ロングセラーとなっている英語翻訳の誤訳の暴露本である。
この本は英語の小説に絞って、日本でも一流の翻訳家が翻訳しても間違えた日本語の小説を書く上でも参考になる本である。
英語は超難解なので、英語に関心のない人は買わないほうが良い。
この本でわたしが気づいたのは、日本語の「彼」「彼女」と、英語のhe, sheの用法の違いによる誤訳である。
英語のhe,sheにはその直前の男性または女性を指すという規則があり、父親と息子が話している場面をheで受けても、混乱しない。
つまりheが父親を指すこともあれば、息子を指すこともあり、それを全部「彼」と訳すと意味が混乱して、誤訳に繋がった例が書いてある。
だが、父親を「彼」、息子も「彼」と訳すと、日本語では混乱する。
複数の男性または複数の女性が出てくる場面では「彼」「彼女」を使わずに、ちゃんと名前を書くべきである。
有り難いことに日本語では固有名詞を繰り返しても、構わないというルールが有る。
もう書いてない作家は、3人以上の男のいる場面でも「彼」を乱用していた。




