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一人称単視点を使うなら、主人公が知らないことは書いてはいけない
一人称単視点の代表格は夏目漱石の「坊ちゃん」でしょう。
これを見ると、家を売った話などは詳しいことは一向に知らぬと書いてあり、それでいいです。
一人称単視点を選んだ以上、主人公の知らないことを書いてはいけません。
これは技術論ではなく、一人称という形式を選んだ時点で背負う契約です。
一人称は、「私」が見たこと、聞いたこと、考えたことだけで世界が構成されます。
にもかかわらず、主人公がその場にいない会話や、他人の内心を説明し始めた瞬間、視点は破綻します。
選考では、ここで即座に「視点理解不足」と判断されます。
一人称は没入感が高い分、一か所の破綻が致命傷になる形式だからです。
一人称単視点とは、自由な書き方ではありません。
しかし、その制約を守り切ったときにだけ、強い臨場感と説得力が生まれます。




