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斬新な話の例

内容の斬新さが重要だと言うと、奇抜な設定や派手な事件を想像する人がいますが、そうではありません。


職業や立場そのものが語られてこなかった領域を選ぶ、それだけで十分に斬新になります。


たとえば、「刑務官」や「死刑執行人」を主人公にした物語です。


これらは社会に実在し、制度としても確立しているにもかかわらず、正面から描かれることは極端に少ない。


理由は単純で、扱いが難しく、安易に書けば批判を受けやすいからです。


しかし、文学賞という文脈では、まさにその「避けられてきた立場」に目を向けること自体が評価対象になります。


刑務官の日常や、死刑執行に関わる者の心理は、派手な事件がなくても、強い緊張と葛藤を内包しています。


外から見れば単調に見える仕事であっても、内側には決して平凡ではない感情がある。


そこを描ければ、設定の時点で他と差がつきます。


重要なのは、特殊な事件を起こすことではありません。


その立場でしか生まれない視点と感情を、逃げずに描くことです。


刑務官なら、秩序を守る側でありながら、受刑者と日常的に向き合う矛盾。


死刑執行人なら、制度の一部として職務を果たしながら、個人として感情を持ってしまうことの重さ。


こうした題材は、安易な感動やカタルシスを用意しなくても、状況そのものがすでに強い主題を含んでいます。


だからこそ、文学賞では「斬新」と受け取られやすい。


平凡な日常を書いても、題材の選び方次第で、十分に非凡になる。


文学賞狙いにおける斬新さとは、奇をてらうことではなく、誰も書きたがらなかった場所に視点を置くことなのです。

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