編集者の意見に反論するのは以ての外である
作家が編集者の意見に反論するのは、以ての外である。
これは精神論ではなく、仕事の構造の問題である。
編集者は作品を評価する立場ではなく、世に出す責任を負う立場にいる。
原稿を通すか、企画として成立させるか、売れる形に整えられるか。
その判断を任されているのが編集者である。
その編集者の意見に反論するということは、「その責任構造を理解していない」と見なされかねない。
たとえ作家側に理屈があったとしても、それをぶつける場ではない。
編集者の指摘は、作品の是非ではなく、「商品として成立するかどうか」を前提に出されているからである。
編集者の意見を聞き入れない作家は扱いにくい。
扱いにくい作家は、次の企画が通らない。
これは単純な現実である。
重要なのは、意見に従うかどうかではない。
まず受け取ることである。
反論ではなく、理解しようとする姿勢を示すことが、最低条件になる。
文学賞を取った直後の作家ほど、ここでつまずきやすい。
「評価された」という事実が、発言権を得たと錯覚させる。
しかし、実務の現場では何も変わっていない。
編集者は味方である。
その味方に対して正面から反論するのは、自分から仕事を減らす行為に等しい。
作家として生き残るために必要なのは、正しさではない。
一緒に仕事ができるかどうかである。




