登場人物の数は話の長さに比例する
小説における登場人物の数は、話の長さに比例するのが普通である。
短い話に多くの人物を詰め込めば、それだけで読みにくくなる。
短編や中編では、人物を十分に描くための文字数が限られている。
そこに過剰な登場人物を配置すると、一人ひとりの役割が薄まり、物語の焦点がぼやける。
結果として、「何の話なのか分からない」作品になりやすい。
文学賞では、限られた字数の中でどれだけ密度を保てているかが見られる。
登場人物が多い作品は、それだけで説明量が増え、物語の推進力が落ちる。
人物が増えるということは、視点、関係性、動機を整理する必要が生じるということだ。
その整理に文字数を使えば、肝心の場面が削られる。
これは構成上の損失である。
長編であれば、人物を増やす余地はある。
しかし短い話で同じことをしようとすると、構造が破綻する。
登場人物の数が話の長さに比例するのは、そのためである。
文学賞狙いの小説では、人物は少ないほうが有利になる。
少ない人物で衝突を作り、関係を深め、変化を描けるかどうかが問われる。
登場人物を増やすことは、世界を広げることではない。
話の長さに見合わない人数を出すことは、密度を下げる行為である。




