第2話 大剣の価値(前)-5
大剣を一度持って帰る許可をもらえた。刃のところを皮でぐるぐるに包んでもらい、持って帰ろうとしたが、その重さゆえ結局ハンスさんに運ぶのを手伝ってもらった。
残念ながらこの武器を振るう腕力は持ち合わせていないので、性能を確かめるには誰かの力を借りるしかなさそうだ。
「力持ち」といって真っ先に頭に浮かんだのは、料理人のブルードさんだ。
しかし、料理人の彼に武器は扱えるだろうか? そう考えて、次に浮かんできたのはカレンさんだった。
前回の仕事でも力を貸してもらった訳だが、また頼ってよいものだろうか……。ただ、気軽に話せる人がそれ以上思い浮かばなかったので、夜に酒場に来たら声をかけようと決めた。
日が暮れて酒場が忙しくなる時間、ほぼ毎日お店にやってくるカレンさんは、今日も例にもれずにやってきた。どこかで話しかけてみようと機を伺っていたら、向こうから声がかかった。並々入っていたお酒を早々に飲み終えたらしい。
「あの……、カレンさん?」
「どうした、スガ? なにか頼みごとかい?」
彼女は私を見上げながら少し斜めを向いてそう聞いてきた。顔に書いてあるのか、言わなくても伝わったようで助かる。
「後でいいのですが……、少し試し切りをしてほしい剣があるんです。頼めませんか?」
「ふぅん……、おもしろい頼みだねぇ。かまわないよ」
あっさり引き受けてくれて安心した。
「私は閉店近くまでいるからね。客がひいて暇になったら近くの空き地にでもいこうか?」
無事約束をとり付けられたので、酒場のウエイターとしてきりきり働いた。いつも通りハンスさんも店に現れたが、特に大剣については触れずにラナさんと話しながら酒を飲んでいた。
そして、夜が更け、明日の仕事に備えて多くのお客たちは家路につく。カレンさんはいつも座っているカウンター席から立ち上がり、ラナさんにお酒の勘定を払っていた。
「ラナぁ、ちょっとだけスガ借りてくよ?」
彼女はそう言って酒場の扉を開けてこちらに手招きした。私は慌てて準備していた大剣を抱えた。歩きがふらつくほどに重たい。ラナさんは私とカレンさんの顔を交互に見た後、夜中ですから気を付けて下さいね、と言って私が出ていくのを許可してくれた。
「仕事の途中にすみません、用が済んだらすぐに戻りますので……」
そう言って私は先に店を出たカレンさんを追った。




