第2話 大剣の価値(前)-3
ラナさんに武器屋に行ってもいいか尋ねてみると、夜の忙しい時だけ手伝ってくれればいいですよ、と返してくれた。お店に戻るハンスさんに同行して早速商品を見せてもらう流れになった。
外は今日もいい天気で暖かく、眩しい日差しが目に刺さる。
ハンスさんの武器屋に入ると店番をしていた若い男性が顔を出した。
「おかえりなさい。おや……、お客さんですか?」
「いや、この人は客じゃなくてな。仕事を依頼したんだ。例の大剣を売ってもらおうと思ってな」
そう言ってハンスさんは店のカウンターにまわると、しゃがみ込んで大きな木の箱を持ち上げた。その動作だけで相当重たいものが入っていると伝わってくる。箱からわずかに木の香りが漂ってきた。
「これがさっき話した大剣だ」
木箱を開けると、鏡のように美しく光る刃の大きな剣が現れた。武器には詳しくないが、素人目にはとても良い剣のように映った。柄頭や鍔のところは黄金色の装飾が施されており、ずいぶんと価値があるような品物に見えた。
「これが……、売れない武器なのですか?」
「ああ、そうだ」
武器に関しての知識はほとんどないので、率直な感想を言ってみた。
「見た感じは、とてもよさそうに見えるのですが?」
「そうだな。これは元々遺跡から発掘された武器でな。競りでオレが買ったんだが……」
彼の話によると、武器屋は鍛冶屋から仕入れる汎用的な武器を多くとり扱っている。しかし、それらとは別に時々開かれる冒険家が発見した武器を競りでおとして販売することもあるらしい。
この街の外にはたくさんの遺跡があると聞いた。そこには様々な財宝や武器が眠っているらしく、多くの冒険家が一攫千金をもとめて遺跡に乗り込んだりしているそうだ。遺跡の多くは謎に包まれており、危険な罠があったり、「まもの」と呼ばれる危険な生き物が数多く生息しているという。
そこから調達できたもので、競売に出されるものがある。遺跡から発見される武器は一品もので、解明できない特殊な技術でつくられているものも数多くある。
過去には、巨大でありながら異様に軽い斧だったり、異常なまでの切れ味をもった剣などもあったとハンスさんは語ってくれた。
ただ、こうした武器は高額で競りにかけられるわりに、その真価がわからないものも多数あるという。つまり、場合によっては高額でガラクタをつかまされることもあるのだ。今、話に上がっている大剣はまさにそういう類らしい。
刀身は1m50cmくらいあろうか、まさに「大剣」という感じだ。こちらの世界でまものと戦う人はこんな巨大な武器を振り回しているのか……。
「この剣なんだが……、困ったことにまったく斬れないんだよ?」
私はそう言われて改めて刃を見た。虫が止まったらその場で切れてしまうのではないかと思うほどに鋭く見える。
「これが……、斬れないんですか?」




