↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
先生と私の恋愛事情  作者: 羽鳥藍那
高校編 - 中
45/87

45

 夏休み三日目の昼。道場から一旦帰宅して昼食を食べていると、圭祐さんから電話がありました。

「翔真たちが戻った。詳しい事はまだ聞けていないが、二人は無事だと警察から連絡が入ったそうだ」

「それで真理佳ちゃん達は?」

「病院に向かったらしいが、歩いて救急車に乗ったらしいから、酷い怪我とかは無さそうだ。夜には自宅に戻れるんじゃないかと思う」

 ほっと胸を撫で下ろしましたが、圭祐さんの声に喜びを感じません。どちらかと言えば、口調が苦しそうで別の不安が湧きました。

「あの、二人以外は……」

「まだ戻らない生徒もいるし、——亡くなった子もいるそうだ」

「……」

「沙織にとっては酷な事で、電話なんかで話す内容じゃなかったな。すまない」

「亡くなった子はかわいそうだと思いますが、私は圭祐さんが心配です。これから警察に呼ばれたり、遺族に謝罪に回ったりするんでしょ。無理だけはしないでくださいね。遠慮なんかしないで、私に貴方を支えさせてください」


 未だに話してはくれないけれど、今回のクラス編成だってかなりの無理をしている。

 翔真君の前では表立った行動は無いけれど、女子の対立は三竦みの状況が続いて雰囲気は悪くて、圭祐さんに掛る負担も重圧も、ものすごく大きいはずなのです。

「本当に沙織は良い娘だな。今度抱かせてくれ、それで元気になれるから」

「え! あの、はい。圭祐さんがそこまでを望むのならば……」

「ん? あ、いや。抱きしめさせてくれって事で、そんな構える話じゃなくてな」

「「……」」

 どうやら私の勘違い、じゃなくて圭祐さんの言い方が悪かったみたい。かなり恥ずかしくって心臓がバクバクで、挨拶を交わして電話を切った後、ベッドに顔を埋めてしまいました。

 美紀ちゃんには『二人とも無事に帰って来たと先生から連絡在りました。混乱しているようなので、連絡を待とう』とだけメッセージを入れておきます。


 夜になって私たち宛に真理佳ちゃんからメッセージが届きました。

『心配かけてごめんね。怪我も大した事なくて大丈夫だよ。翔真との事もパパたちに話して許してもらえた』

 許してもらえたって、好き合っている事を? なぜ? どうして?

『ちゃんと説明して!』

 それは美紀ちゃんも同じだった様で、とんでもないメッセージが入ります。

『もしかして壊れた?』

 真理佳ちゃんは気にした様子も無く、ものすごく簡単な説明がされました。

『翔真が養子で、血の繋がりは無いの。だから、結婚前提に付き合う事を許してもらったの』

 何とも唐突な展開に理解が追い付かなったけれど、『おめでとう。良かったね』と取り敢えず送っておきます。納得いかない様で、美紀ちゃんからは『ちゃんとした説明を! 直接、早いうちに聞きたい』と送られていました。私も同じ気持ちですけどね。


 その夜は学校からの連絡を受けた両親が、保護者向けの説明会に出向いて行いきました。帰って来た両親は、学校側と説明に立ち会った警察の対応に不満を滲ませ、聞いてきた在りのままを話してくれました。


——曰く。

 夏休みの初日に、五十三人の生徒が学校内から姿を消した。

 校内をくまなく探したが、補習に来た生徒のみが見当たらないので、警察への通報に至った。

 警察による捜査が行われるので、校内に残っていた生徒を帰宅させ、捜査の行方を今まで見守っていたが、今日になって二人が生還した。

 同時に校内では十六名の遺体が確認され、未だ三十五名の生徒の行方のままでいる。生還した二人も被害者であり、遺体の状況から二人に対する嫌疑は晴れている。

 亡くなった生徒に関しては、死因含めて捜査中のため説明できないが、獣に教われたようだ。

 しばらくの間は校舎の補修等で立ち入りを制限する必要が有り、その期間は夏休みの全てを予定している。よって、各部の活動に関しては顧問の先生に一任しているので、指示に従っていただきたい。

 生徒の精神面のサポートについては、県の教育委員会へ専門の要員要請を行っているので、何かあれば学校へ連絡を入れてもらいたい。

——だったそうです。


「それで何を聞いても、捜査を理由に明確な回答はもらえやしない」

「殺人事件なのよ。なのに獣に教われたなんてはっきりしない説明をして、まだ安全かなんて判らないじゃない」

「だからと言って転校なんか無理だろ。そもそも、どこまで安全かどうかわからないんだから」

 心配してくれるのは嬉しいのだけれど、この時期に編入試験なんて勘弁してほしいし、圭祐さんと離れるなんて考えたくも無いですけど。

「とりあえず落ち着いてよ。転校するつもりは無いし、当面は道場の方に通いますから心配しないで。それより、助かったのは相羽さん所の二人よ」


 母は驚いて電話をかけ始めたけれど、父に止められました。あちらは当事者なんですから、考えてほしいものです。

 部屋に戻るとプレゼントされたアンクレットに向け、圭祐さんの安寧(あんねい)を願ったのでした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。