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先生と私の恋愛事情  作者: 羽鳥藍那
高校編 - 前
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 先輩方が卒業してしまうと、部活に張り合いが無くなってしまいそうです。

三年生が不在だと先生しか相手になる人が居ないし、先生がそう頻繁に付き合ってくれるわけでもないのですから。

 男子部員とは練習をしてもらえなくなっています。自業自得ですけれど、どうにも我慢ならなくて笹本君を立てなくなるくらい、打ち込んだ結果なので諦めています。

 そして卒業式を迎え、先輩たちはそれぞれの道を進んで行きます。剣道を続ける環境に居ない人もいるけれど、たまには遊びに来て指導してくれると良いなと思うのです。


 終業式の日は、部活は有るけど練習はありません。

来年度の新入部員の為に、ロッカーやシャワー室を徹底的に大掃除して磨き上げる為で、この時ばかりは先生の力も借りないと終わりませんから、圭祐さんも仕事を片付けて早くから来てくれています。

 訳あって、普段は入れない圭祐さんがシャワー室に居るのですが、普段肌をさらす場所だけに少しだけ恥ずかしいです。

 実は同級生の部員にも先生との関係がバレていて、変に気を使ってくれるのです。話の出所を聞くと、部長引継の際に最優先事項として『二人の関係を進展させ、良き報告をするように』と言われたらしいですが、大きなお世話だと言いたくなりました。

 まあ、私から良い報告が出来ればよいのですが、こればかりは圭祐さん次第なのでもどかしいです。


 そういった訳で、今は二人きりでシャワー室に居るのですが、もちろん掃除のためですので距離は保っています。もっとも二人で居るのは気を使われた結果で、その時間が長いのは圭祐さんがやり過ぎている結果です。

 水の勢いが弱いと愚痴をこぼした部員がいて、それならばとシャワーホースから先を節水型に交換する事になったのですが、その作業は圭祐さんが全て行っています。

 圭祐さんが部品を外していく傍らで、私は金属部分のクスミや錆を落として行きます。来年度の新入部員が綺麗な部室だと思ってもらえる様、精魂込めて磨いているものですから、気付けば追い越されそうな勢いです。


 圭祐さんの作業が一段落したところで、それとなく話しかけました。

「先生、ひとつお願いが有るのですが」

 そう切り出すと、こちらも見ずに「言ってみろ」と返してきます。手も止めずにいるので、たぶん想像はついているのでしょう。

 シャワー室の外には同級生しか居ないはずで、聞き耳を立てている事は予想できていいますから緊張します。

「あの。四月に入ったら、新学期が始まる前にデートをしていただけませんか」

「やっぱり。そこがお前らの考えるタイミングなんだな」

 やはりバレていた様で、その口調から断られる事が想像できてしまいました。


「いいよ。一八歳の誕生日を二人で祝おう」

「え? 良いんですか?」

「受験生になるんだから、気持ちの区切りは必要だろ。いつまでも悶々としていて、結果が酷い事になったら目も当てられない」

「あの、それって……」

「今はここまで、夜にでもメールをいれるよ。ちゃんと迎えに行くから待っててくれ」

 廊下を睨み付けてそれだけ言うと、一瞬だけ目を合せて出て行ってしまいました。


 約束は取り付けたのですが、余計に不安が募ってしまいます。先生と入れ替わるように入ってきた同級生はやはり聞いていたようで、心配そうな表情を浮かべていました。

 私は肩を竦めて答えるしかなく、その後は誰もその話題には触れずに掃除を続けたのでした。

 たぶん先輩方には良い連絡は出来ないと思いますが、気持ちだけはしっかり伝える事にします。たとえ断られたとしても、この思いは折れないと信じています。だから折れるまでは、いえ認めてもらえるまでは、何度でもアタックするのです。


 夜に届いたメールは簡単なものでした。

 決戦の待ち合わせ場所は最寄駅のロータリー。午前中から会うことになったのです。


 駅のロータリーにはコインパーキングもありますから、車で出かける事になるのでしょう。人目を気にしての待ち合わせだと思います。そして午前中からなら、お昼を一緒にと思っているのでしょう。

 果たしてどのタイミングで打ち明けるのが良いのか、大いに悩みます。気まずい雰囲気で食事はとりたくありませんし、後にすればするだけ楽しめないでしょうから。


 毎年、誕生日は真理佳ちゃん達が祝ってくれていましたので、両親からは夕飯時に祝ってもらうのが恒例になっています。

 朝から出かける旨だけを伝えると、母は意外そうな顔を向けてきましたが、深くは追及してきませんでした。真理佳ちゃん達と外で会うくらいにしか思っていないのでしょう。そのまま勘違いしていてもらうのがベストです。


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