「オマエもすでにメンバーだったんだよ」
「何だと!?」ツヅキは髪を振り乱す。
「オレのどこが卑怯だって!?」
「兄貴に信頼されてたんだろ」
「……」
「次の変化候補だって、言われたんだろう」
「何でも教えてもらってたぞ」
「だったら」
拓人、マジな目でヒトシを見据えた。
「その場で何か、言ってやったのか? ヘンプロのヤツらに。そんで、」
デンを指して「まだ意識のあったコイツに、何か言ってやったのか?」
「だってボクは」急に弱々しい言い方になったヒトシ。
「だって……ボクはメンバーじゃなかったんだ」
「ツヅキくん」拓人は、ゆっくりと彼の近くに寄った。
「オマエの気持ちは分かる、兄貴はきっと、今でもものから化してんだろ?」
「……家に引きこもってる、姉きはそんな家庭が嫌でさっさと出て行ったけど、オヤジもオフクロも、始終ビクビクして……」
「だったらよけいさ」拓人の口調はあくまで優しかった。
「そん時、言ってやるべきだったんだ。だってさ」ぽん、と彼の肩に手をかける。
「オマエしか、言えるヤツはいなかったんだぜ、そん時」
「ぼ、ぼくはメンバーではなかった」繰り返すツヅキの唇は震えていた。
「デンをひっぱたいてでも、言うべきだったんだ」拓人はじっと彼の目を見つめた。
「このヒキョウモノ、仲間を見捨てるんじゃない……ってさ」
デンは黙っていた、ツヅキヒトシも、何も返せなかった。
「だってさ……オマエもすでにメンバーだったんだよ、その時」
「チクショー!!」突如、ヒトシは爆発した。ばっ、と拓人の手を振り払う。
「やっぱりオマエら、何にも分かってねえ! みんなくたばっちまえ!!」
走り去る彼を、拓人と伝助はそのまま黙って見送った。
しばらくたってから、デン、へなへなとその場に座り込む。
「タクちゃん、どないしよう」
両手で顔を覆っている。
「ウチ、ほんまに、本当に……友だちのこと、アイツらのこと……忘れて」
「『影の力』に聞いてみりゃいいよ、コメじいに」
拓人はなぐさめるように横に座る。
「学校に行きゃ、いつでも会えるんだしよ、捕まらなきゃ校長だっているし。それにとりあえずあのツヅキヒトシの兄貴は名前が判ったんだろ? なんだっけ、シゲミだっけ」
「しかも自分から忘れようしてたん、仲間のこと」
「オレだって、その時だったらそういう判断したかも知れねえよ、仕方ないって」
少し離れた所からたまたま通りかかったどこかのオヤジが大声で叫んだ、拓人はあわてて立ち上がり
「違います、オレ、泣かしてませんしぃ。第一コイツ、オトコですからぁ」
負けないような大声で必死に言い訳していた。
とにかく今度、一緒に用務員室に行こうぜ、って話になった。
最後に拓人、こうなぐさめる。
「とにかくさ……やっちまったコトは仕方ねえよ、やっちまった、ってことは取り返しつかねえんだからさ。オレなんてしょっちゅうだよ、そんなコト。
要はさ」頭をガシガシ掻いてから、タンコブに触ったらしく「うをを」しばし悶絶してからまた素に戻り
「要はさ、リカバリーショットだよ」
え、とつい顔上げたデンに、にたあ、と笑ってみせる。
「どうカバーするかだよ、その後をさ」
ま、がんばろーぜ。とりあえず進もう、次にさ。と、全然頑張る様子もない口調の拓人。
それでも、何故か心が少し軽くなった伝助であった。




