いざ初冒険!師匠の実力⁉︎
「これは凄いな」
はじまりのダンジョン三階層。
アリオのダンジョン攻略は、理想的なダンジョン攻略といっても師匠バカと呼ばれないだろう。
初めてのダンジョンとは思えないほどに順調に進んでいる。
オーウェンの視線の先には複数のゴブリンやワーウルフに囲まれているアリオの姿。
普通ならすでに助け舟を出す状況だが、何も心配していない。
「終わったー!」
ほんの数秒で決着がついた。すべて切り倒され、モンスターたちの一部はドロップ品を落とした。数分後にはダンジョンが死体を吸収するだろう。
モンスターを片付けたアリオがオーウェンが待機していた場所に戻ってきた。
「この調子なら五層までいけるな!」
「野営の準備もしてない。今日は帰るぞ!」
「いや、このままのペースで進めば辿り着けるだろ!」
「アリオ、ダンジョンの連戦を舐めてはいけない。自覚してないかもしれないがここまでの連戦で体力を大きく削れている。帰りの安全を考えればここで帰るのがベストだ」
進む、帰るというやり取りを続けていると、その声を辿って数十匹のモンスターが集まってきた。その様子を見たアリオは額から汗を滴らせた。
「言わんこっちゃない。はあ、流石にこれはまだ荷が重いか」
そういうとオーウェンは片手をモンスターの集団に向け、魔力を練り上げる。
一瞬だった。
練り上げられた魔力は炎へと姿を変え、全てを飲み込んだ。
「す、すごい!」
心からの称賛、今見た光景はアリオの人生で一番の衝撃。それほどまでの一撃だった。
使用した魔術は火炎魔術の『フレア』。魔術適性があれば誰でも使える基礎魔術の一つ。
アリオも宮廷魔術師たちから魔術を教わった際に学び、使えるようになった。
しかし、今見た『フレア』は桁が違う。ウェストニア王国屈指の宮廷魔術師たちと比べても尚、桁が違いすぎた。
「待て!オーウェン今の魔術は!」
「それはダンジョンから帰ってからだ!」
再度、ダンジョン内で言い合いを仕掛けきたアリオの頭に拳骨を落とし、襟首を引っ張ってダンジョン二階層へ続く階段を降っていった。
ダンジョンを出てからアリオは黙りこくり、何かを考えながら、時々ぶつぶつと何か独り言をこぼし冒険者ギルドまで歩いた。
「着いたぞ、アリオ」
「え?あ、ああ」
オーウェンから声をかけられハッとした表情で辺りを見渡し、今日の戦果をリーナに伝えに行った。
「リーナ、これがダンジョンで取れたドロップ品だ。鑑定してくれ」
「承知しました」
十を超えるドロップ品の鑑定し、丁寧に査定していく。
真剣に鑑定しているリーナをチラチラと見るアリオの視線に気付き、リーナが声を掛ける。
「どうされました?」
「そ、その聞きたいことがあるんだが・・・」
小声でリーナに返答する。
「このあと時間はあるか?オーウェンのことで聞きたいことがあるんだが」
「オーウェン様についてですか?承知しました。半刻ほどお待ちいただければ」
「なら半刻後にギルド前集合で頼む」
待ち合わせの約束をした後、鑑定した成果を受け取る。
「こちら十点合わせて銀貨十五枚です」
「ありがとう。確かに受け取った」
そうしてアリオ・ウェン・ウェストニアの初冒険は完了した。
一日でダンジョン三階層到達。新人冒険者とは思えない速度で攻略を進めていると冒険者の中で、少し噂が広まった。




