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ヴィンセント様との結婚生活は、過去の結婚生活よりも甘かった。
事務的な会話ではなく、二人の時間を持とうとしてくれた。
ヴィンセント様は一目惚れだったらしいが、私という人間を知ってからもより愛を深めてくれた。
「ソフィア、朝のキスがまだだよ」
「遅れてしまいますよ、ほら」
玄関先で頬にキスを贈ると、彼も頬に返してくる。
ヴィンセント様の大きな愛は使用人たちも慣れたもので、その愛は外でも発揮しているのか、〝新しい当主様は愛妻家〟と貴族間でも話は広まっているらしい。
「あんなに愛されるなんて、よかったですわね」
「ええ、毎日とても幸せです」
お茶会では、過去に石女だと笑っていた人たちからそんなことを言われるほど。
それでも、親世代の夫人からは世継ぎを産めない女を嫁に迎えるなんて、というニュアンスのことをチクっと言われたりもする。
でも私はもう、子どものことは気にならなくなった。
それ以上にヴィンセント様が蜂蜜より甘く愛してくださるから。
私も彼を愛してる。だから子どもも……なんて思えるようになっていた矢先のことだった。
「おめでとうございます、ご懐妊ですよ」
ディナーの後に席を立った際に、立ちくらみで倒れかけた私をヴィンセント様が抱えて、大慌てで部屋のベッドで寝かされた。
すぐに呼んだ医師に診てもらうと、妊娠したと聞いてぽかんとしてしまった。
「ソフィア!」
ぎゅうぎゅうとヴィンセント様に抱きしめられてハッとする。
赤ちゃん。私のおなかに赤ちゃんがいる。
子どもができないからと二度離婚した私が、ヴィンセント様との結婚から半年で妊娠するなんて思ってもみなかった。
「ヴィンセント様……」
ポロポロと溢れる涙をヴィンセント様がハンカチで拭いてくれる。
ヴィンセント様の赤い瞳も潤んでキラキラしていた。
そうして二人で抱き合って涙を流しあった。
子どもが出来にくい身体だから、自分の子どもは叶わないと思っていた。
「ヴィンセント様、ありがとうございます」
「お礼を言うのは私の方だよ。ソフィアが私を受け入れて、愛を返してくれたからだと思う。ありがとう」




