1
私は過去に二度、結婚をしていた。
過去形なのは離縁したから。
その理由は『子どもができない』というもの。
最初の結婚は十六歳。
両親が決めた相手との政略結婚だった。
最初の夫であるダニエル様は同い年で、伯爵家の嫡男だった。
政略結婚だと分かっていたけれど、ダニエル様との仲は良好だったと思う。
段々と二人の関係が崩れていったのは結婚から二年が過ぎたくらいだろうか。
ダニエル様は次期伯爵家当主になる方。
それなのに二年経っても私たちの間に子どもが授かることはなかった。
「ごめん、ソフィア」
「ううん、いいの。私こそごめんなさい」
十八歳の時にダニエル様と離縁した。
その後、ダニエル様は新しい妻を迎え、一年後には子が生まれたと聞いた。
私はホッとしたと同時に、どうして私ではダメだったとだろうと落ち込んだりもした。
けれどいつまでも落ち込んではいられなかった。
十九歳の時に、父親が再び縁談を持ってきた。
三つ年上の伯爵家の嫡男、シモン様は少し軽薄そうなイメージがあったものの、一度離婚したことのある私に相手を選ぶ権利はなかった。
比べてしまうのは良くないことなのだけれど、ダニエル様とは三日〜四日に一度の回数だったのに対して、シモン様は一週間に一度あるかないかのペースの夫婦生活だった。
同じ伯爵家の嫡男という立場なのに忙しさが違うのは、任されてる仕事量のせいなのかと思っていた。
「ごめんね、ソフィアちゃん」
「ごめんなさいね、ソフィア様」
「……いえ、お幸せに」
シモン様がお忙しかったのは、愛人であるマーガレット様との逢瀬を優先されていたからだった。
マーガレット様が妊娠したため、私はまた離婚することになった。
今回はシモン様の不貞行為が理由のため、伯爵家から慰謝料を受け取ったものの、私は二度の結婚で二回共妊娠することができなかった。
私は『石女令嬢』と噂されるようになってしまったのだった。




