01.広がる興味
クレイたちの来院後、ほほえみデンタルには再び患者が訪れていた。
「こんにちは」
「失礼します」
受付へ入ってきたのはギルとマイクだった。
すずが受付から顔を上げる。
「こんにちは」
つむぎも続ける。
「本日はよろしくお願いします」
ギルとマイクは軽く頭を下げ、そのまま診療室へ案内される。
サムから事前に色々聞いていたのか、2人は落ち着いた様子で説明を聞き、そのまま大人しく診療を受けていく。
志帆がその様子を見ながら口を開く。
「なんやサムさんと比べるとスムーズだねぇ」
「たしかに」
大地も頷く。
そのつぶやきを聞いて、ギルとマイクは顔を見合わせる。
一体ギルマスはどんな迷惑を……。
そんな空気が二人の間に流れる。
大地がその様子を見ながら口を開く。
「あ、でもマリアさんがお説教してくれるらしいですよ」
「え?副マスターが?!」
ギルが思わず声を上げる。
マイクもそのままギルを見る。
マリアの名前を聞いて、二人は再び顔を見合わせる。
そしてゆっくりと目を閉じる。
家でサムがマリアにこっぴどく怒られる様子を。
二人は小さく手を合わせる。
志帆がそのまま口を開く。
「ああ、サムさんの奥さんやっけ?………息子のクレイ君って子をT―Fixで治療したんやっけ?」
「えっと……T-Fixというのは?」
マイクが首を傾げる。
大地は顎に手を当てながら言葉を考える。
「えっと……端的に言うと、歯がグラグラしている時に、一時的に周囲の歯と連結して安定させる処置のことですよ」
「歯がグラグラしているときに?」
「グラグラしていたら抜くしかないでしょう?」
ギルとマイクは疑問を口にする。
大地はそのまま続ける。
「あ~……その状態にもよりますけど……。問題がなければグラグラしていない健康な歯と固定させて安定するのを待ちます。まあ、ちゃんと経過観察は必要なので定期的に来てもらいたいですけど」
ギルとマイクはへぇ~っと感心する。
真人もそのまま口を開く。
「あとは……、歯が抜けたとしても例えば抜けた歯の根っこの部分は持たずに、頭のところをもって牛乳に入れてここに来てもらえれば……。再植して固定させることも可能ですよ~」
30分以内、遅くても1時間以内に来てもらいたいですけどね。
と、真人が付け加える。
ギルとマイクは顔を見合わせる。
歯科治療の可能性を見出しているようだった。
ギルが少し前へ出る。
「あの、今度歯科治療の細かいことを教えてください!」
マイクも続ける。
「リンをまた連れてくるんで……詳しい治療内容を取材お願いします」
真人が少し困ったように返す。
「えっと………取材はいいけど……」
するとマイクがそのまま続ける。
「あ、治療している人の様子はうちの職員を連れてくるのでご心配なく」
「いや、勝手に決めていいんか?」
志帆が口を挟む。
するとマイクとギルは声をそろえて答える。
「問題ないです!」
「大丈夫です!」
詳しい相談はまた後日。
そう話すと、2人は揃ってお辞儀をする。
「では、また来ます」
「失礼しました」
そのまま受付を後にし、扉の向こうへと帰っていった。




