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バトルオブロード  作者: 森の番人
10/15

第10話「試合後」


声が聞こえ始めてたので目を開ける。

目の前にはクラスメイトがこちらを見て何か声をかけてきている。


「おい、藍田。よくやったな。1人で何人ものを倒していたらしいな。」

「そうだぜ。これで1ヶ月はポイントで豪遊できるってもんよ。」

「藍田くん。あなたのおかげで勝利することができたよ。ありがと。」


クラスメイトの気持ち悪い顔が続いて最後に加藤さんのお礼でプラスマイナスゼロの感情になった。

そこでこのクラスのリーダーを見つけたのでみんなを手でどかしながらそいつの前まで進んでいく。


「英二。こいつらのテンションおかしくないか、はっきり言って気持ち悪い。」


すると周りからブーイングが起きる。それに対して英二は答える。


「仕方ないだろ。俺たち特攻してから脱落して控室でお前の戦いを見ていたんだよ。そしたら、お前の強さを見て興奮していたんだよ。そら、終わりの挨拶が始まるぞ。」


英二が顎でステージ外にある壇上をさす。

すると、壇上には最初の説明をしたものではなく理事長が立っていた。

耳につけたイヤホン型マイクを触ってマイクテストを行っている。

そして、それが終わったら全体を見回して話し始める。


「さて、諸君ごくろうだった。両者ともに得意なことを作戦に組み込み奮闘していたのはよくわかった。その中でもEクラスは逆境を覆すため相手の意表をついたことは評価できる。そして、お互いに悪いところもあるのでそれはクラスで話し合いをしながら見つけていくがいい。みんなよくやった。」


そして、短い挨拶だけして理事長は降りていく。そして、降りたところでポケットから携帯を取り出して何か操作をしている。

すると俺のポケットから端末が振動する。誰かからのメッセージが届いたらしい。見てみると、


『藍田くん。この後、佐藤くんを連れて理事長室まできてくれ。理事長より。ハート。』


と理事長からの気持ち悪いメッセが来ていた。それを英二の脇腹をこづいてから見せると首を縦に振った。

それからは今後の予定などを学年主任が壇上で話して、この試合の終了を宣言して解散となった。

だが、俺と英二は理事長に呼ばれているのでこのまま帰宅とはいかない。


「みんな、今日はこのまま解散だが各自、何が良いのか悪いのか反省をしておいてくれ。明日、それを話し合うことにする。忘れるなよ。特に島田はしっかりしてくれよ。」


と完全な問題児の1人に目を向ける。みんなは笑いがら会場を出ていく。

それから俺と英二は理事長室に向かって歩き始めるが後ろから加藤さんのとても冷たい目が刺さってきて怖かった。

理事長室は1度行っているので道はわかっている。


「俺たちが敵陣に向かってからはどうだったんだ。有利な上からの攻撃によく耐えていたな。」

「ああ、体力の低いものを最初は盾役と攻撃をしてもらいヘイトを買ってもらったんだ。あとは敵の陣営の方まで行ったら遮蔽があるところがあったからそこで上からの砲撃を回避しながら耐えていたんだ。半数以上は脱落してしまったがな。」

「それで俺の先頭のことを知っている人が多かったのね。」


それなら納得だ。脱落したものは控室で試合の状況を見ることが出来るらしい。音声はなしだけど。


「理事長だけどなんの話なんだろうな。」

「そんなの決まってるだろ。この学校の異分子についてだろ。俺たちに対して妨害や学校のことで好き勝手に裏で何かやっていることだな。今回の試合もそいつのせいで一方的な不利な状況になってしまったんだ。思い当たるのはあるだろ。」

「まあね。あの装置はあのマップには最適なものだからな。」


そう、Dクラスの本拠地のビル前にあったワイヤーのことだ。あれがあるおかげで大人数が丘の上にいち早くたどり着くことができたのだから。


「あれは事前に用意した道具だけじゃあないな。後で置野さんに話を聞きに行ってみなよ。ロボ子と戦って試合後にはその子のところに行って何か仲良くしていたからさ。」

「へー、そうなのか。お前って意外と周りに目を向けているんだな。」

「なんで、意外なんだよ。俺は普段から周りには目を向けて気をつけているんだよ。」

「へー。知られたくないことがあるから普段はあまり関わることをしてこなかったって風にしかみえなかったけどな。」

「半分正解。隠しているわけではないんだよ。あまり親交もないやつに知られたらめんどくさいことを隠しているわけだよ。英二には今度話しておくよ。」


それから俺と英二は要件を早く終わらせたかったので理事長室まで早歩きで向かっていく。

理事長室の扉が見えるところまで来たが今回はあの変な教師はいないのでめんどくさいことが起きそうにないので安心する。

扉の前についたのでノックをして返事がある前に入る。


「おいおい、君たちは礼儀というものを知らんのか。全く高校一年生はまだまだ子供ってことだ。」

「その子供は初めての試合でお疲れなのに、いきなり呼び出すなんて理事長として生徒に対して悪いとは思わないのか。」


英二は失礼はしていないと言っている。

それに理事長は何も言わない代わりに用意されている椅子に座れと手で指示をする。

俺はこの話を早く終わらせたかったのですぐ椅子に座るが椅子は3席ある。


「俺たち以外にも誰か呼んでいるんですか。もう一席ありますし。」

「ああ、そうだ。ほらやってくるぞ。」


理事長は扉に目をやれと促すとノック音が聞こえてきた。


「失礼します。あれ、佐藤に藍田くんもいるのか。」


そこには樋田がいた。

彼の口調がおとなしい気がする。


「樋田、さっさと座らんか。私は後にも予定があるんでな。」


理事長は着席を促す。

そして、3人が座った事で話が始まる。


「さて、今回呼んだのは、佐藤、藍田は前回と似た事だ。この学校のボスである私に黙って教師あるまじき悪に手を染めたものがいる。それが誰なのかは検討はついたのだが証拠がなくてな。それがようやく手に入れた。その一つとなるのが樋田、お前だ。試合前に接触してきた教師がいただろ。」


そう言われた樋田はある人物を思い浮かべていた。


「あの丸眼鏡をつけた日々(ひびなり)っていう教師のことですね。なんだか偉そうな男でしたけど。」

「そうだ。彼は元々海外の優秀な学校で教師をしていたんだ。そこでロードの仕組みなどに詳しかった。だが、学校自体がトラブルにより閉鎖。そこで我が学校の技術者としてむかえたわけよ。そういえば、君たち2人もその男にあってるはずだ。この前説教をしたときの帰りだ。」


理事長にそう言われてその男に心当たりがあった。


「なんか、足を引っ掛けようとしてきたあいつか。」

「そんなやつ、いたかな。」


理事長は面白かったのか少し笑っている。


「先ほど言ったように優秀だったがそのトラブルによって彼は人を見下すようになったんだ。それは能力的に優秀であろうと自分が気に入らなければそうする。これまではそれが軽い嫌がらせ程度のものだったので注意喚起だけで済んでいたがここで才能ある者たちを摘み取るというこの学校の理念を否定することをし始めた。」


すると何かの端末を触るとホログラムが飛び出した。

それを俺たちが見えるような方向に向きを変えてくれた。


「この顔の男だ。いかにも人を見下しそうな顔をしているだろ。」


黒縁メガネであり目が吊り上がり口元も少し気持ち悪い。


「この顔になったのはある出来事の後らしい。元々は普通だったらしい。まぁ、顔までが変形するほどの出来事があれば人は中身も変わってしまう。1人で対処できることは限られている。」


理事長は3人顔をしっかりと見て言う。


「なら、この学校で信頼の出来、いざとなったら頼ることが出来る仲間を作っていってほしい。この言葉は死ぬまで覚えていた方がいい。特に佐藤と樋田は本当の意味で信頼できる仲間を作るべきだ。2人はリーダーという立場なら尚更な。」


そう少しだけ寂しそうな目をしているように見えたが気のせいだろう。

それからは今回の試合のことの総評をそれぞれ受けたりするなどして30分ぐらいは座ったままだった。

そして、総評が終わるとまず樋田が口を開いた。


「俺たちは対等な条件で戦ってそれで佐藤と藍田たちが俺たちの上を行く戦い方をすることが出来て負けたと思っていたんだ。けど、条件はこちらが不正に近い状態で始まって大逆転されて負けたのはとてもじゃないがなさけない。」


今回の勝負は彼じゃなくてもなさけないと思ってしまうのは仕方がない。

彼らの1番の敗因となったのは圧倒的に有利な状態となり慢心して早めに勝負を決めにこなかったことだろう。


「今回の試合はルール違反に抵触するような行為をしてすまなかった。Dクラスのリーダであり代表として謝りたいと思う。すまなかった。」


樋田は立ち上がって俺たちの方を向いて頭を下げてきた。

俺たちが校内では最底辺だと言われるクラスであるのだがそれを気にすることもなく、黒幕の甘い誘いに乗ってしまい学校や対戦相手に迷惑をかけたことを反省し謝罪をしてきた。

俺は樋田に対する評価が良くなった。


「ああ、俺は気にしていないから大丈夫だよ。英二はどうなの。」

「俺としても問題はない。今後も不利なことが起きてそれに向かって対処しなければいけないから良い訓練になった。だがな。」

「ああ、佐藤も思っただろうがこのまま無条件に許してしまうのも彼らの教訓にならないだろう。何か条件付きで謝罪を受け入れることにすればいいのではないのか。」


俺としては謝罪を受け入れてそれで終わりと思っていた。

だが、英二と理事長はそれでは彼らDクラスのためにはならないと思ったとのこと。


「ああ、俺たちとしてもその方が心の底から反省が出来そうだ。なんでも条件をつけてくれ。」

「なら、理事長に立ち会い人になってもらいたい。」

「ほう、いいぞ。私が立ち会いになったほうがDクラスの人に説明する際には都合がいいだろうな。」


理事長が立ち会い人となることで、Eクラスが勝ったことで負けたクラスに調子にのって嫌なことを押し付けようとしているようには見えなくなり教育の一環ということがしっかりと全校に伝わる。


「それなら俺たちEクラスがお前たちDクラスに対して謝罪を受け入れる条件は簡単なことだ。俺たちが困ったことが起きて手助けがいる時には手助けをしてほしい。それだけだ。」


樋田は少し安心したような顔をした後、首を頭に振る。


「ああ、それなら問題はない。いつでも俺たちを頼ってきてほしい。」

「私としてもその内容なら問題はない。お互いに助け合って強くなってほしいものだ。」


理事長も頭を縦に振って満足そうにしている。そして、手をパンッと叩いた。


「さて、君たちのおかげで悩むべきことの1つを片付けることが出来る。感謝するよ。EクラスとDクラスこれからも良きライバルとして良き仲間として高校生活を過ごしていってくれ。初の試合の後で時間をとらせてしまって申し訳なかった。今日は寮でしっかりと休んでくれ。」


理事長から帰っても良いと言われたので何か嫌な用件を託されるより前に帰るべきだ。


「なんだ。私からまた新しい用件でも頼まれるとでも思っているような顔をしているぞ。」

完全に見透かされている。

「大丈夫だ。今日は来客があるんだ。そんなことを生徒に頼んでいる時間はないんだ。そら、今日は活躍して疲れただろ。休め休め。」


と手で追いやる仕草をされた。

俺たちは理事長室を「失礼しました。」と少しめんどくさそうに出ていく。


「さてと、樋田。今後は練習試合や合同練習をすることもお願いすることがあるから、その時は今回のこと抜きで頼むぞ。」

「はい。いいですよ。ですが、ロードのことが絡むと私の口調などは一変することになりますがそこに驚かないでくださいよ。藍田さんは知っていると思いますけど。」

「ははは、まぁね。」


普通に理事長室の時と試合で対峙した時とは全く違う。


「それでは失礼するよ。」


樋田は会釈をして階段に向かっていった。


「あれがDクラスのリーダだったの。お疲れ様、お二人さん。」


背後から加藤さんが声をかけてきた。

部屋から出た時に3人の他にもう一人がいるような気配を感じたが加藤さんだとは姿を表すまではわからなかった。


「なんだ、加藤さんいたのか。英二に用事があって待ってたの。それなら解放されたから好きに使って良いよ。」

「お前が勝手に決めるな。けど、この後は何もないから用事があるのなら付き合うぞ。」


英二は加藤さんに用事があるのなら付き合うと言っている。


「佐藤くん、今日のことと今後どうしていくかを話したいんだけど。いつもの場所で大丈夫かな。」


加藤さんは少し上目遣いで少し誘惑気味で誘うのだが英二は全く表情を動かさずに了承している。

あいつは2次元のことだと表情は変わるのだが3次元に対しては表情が崩れたところをあまり見たことがない。


「それじゃ、俺は帰るが2人共遅くならないようにね。明日は普通に授業なんだから。」


英二は「おう」と素っ気ない返事をして、加藤さんは今回は英二との時間を邪魔しない心遣いが伝わったのか笑顔で「じゃあね。」と返事を返してくれた。

そして、階段を降りようと一歩階段に踏み出した時下の方から懐かしい気配を感じ取った。

力強く、そして、包み込むような優しさを。それは昔から一緒にいた人物のものであるとわかり昔のことを思い出す。


「理事長への来客はあの人か。今は会うわけにもいかないな。」


真っ直ぐと下に降りるのはなく校舎同士をつなぐわたり廊下を通り遠回りで帰ることにする。

気配というのに敏感になったことを今までは呪いのようなものであると思っていた。

しかし、今はその呪いは自分を助けるものになっていた。

今日は色々あったが有意義な一歩を踏み出すことが出来たと思う。


「明日からも頑張るか。」


背伸びをしながら明日のことを考え寮へと戻る。


英二はインテリくそメガネと廊下ですれ違った際に足を引っ掛けられたのだが彼の強靭な肉体の前には無意味であり逆に転んでいた。なんて悲しいフィジカルなのでしょうか。

筋トレは程よくして健康的な身体を作ろう。

by 宗斗

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