天使、畏れられる
「そう言えばユニ!さっきのアレは何!?」
表彰式も無事終わり、今は希望する参加者全員で打ち上げをしている最中だ。
「あー……あれねー……」
「あんなヤバいのが出てくるなんて聞いてないわよ〜……」
そう言いながらエールのジョッキを持ったままテーブルに突っ伏すルーティ、そこそこの感じに酔っていた。
「私も知らなかったんだよー……ごめんねー?」
「ううう……怖かった〜……」
ユニはこの新しい魔法の正体を本当に知らなかったのだ。
だって自分に鑑定を使って確認しても
『ウロボロス』
蛇神の力を手に入れる。
しか書いていなかったのだ、まさか背中から禍々しいよくわからない物が生えてくると思わないのも仕方ないのであった。
トラウマになっているのか、ウロボロスの姿を思い出して少し震えてるルーティの名前を撫でる。
普段とは逆だが、これはこれでアリだと思う。
飽きることなく永遠に撫で続けていると、申し訳なさそうに声をかけてくる人がいた。
「約束の指輪を持ってきたんだが、お邪魔だったかな?」
ギルド長のトーマスさんだ、トーマスさんは苦笑しながら言葉を続ける。
「それに2人に伝えたくてね……おめでとう2人とも!ユニくんはSランク登録!ルーティくんも無事Sランクに昇格だ!うおおおお!」
トーマスさんが大きな声でお祝いしてくれると、周りがざわざわしだした。
「おいおい……あれ『仮登録』だろ?Sランクって聞こえたんだが?」
「でも今日のあれ見ただろ、可愛いだけで人じゃないんだよあの子」
「『顔面ボコボコ女』はまぁあの強さだし納得だな、人じゃない方はもう言うまでもねぇよ」
「誰が人外ですかっ!!」
「「「ひぃっ!」」」
私が失礼なことを言ってる人達にツッコミを入れると男たちは顔を青くしていた、あれ?今のって笑うところじゃないの?
気まずくなってそのまま席に座るとトーマスさんがちょっと慌ていた。
「ユ、ユニくん、落ち着いて。…ほらおじさんもう指輪渡しちゃうよ!」
何だか挙動不審なトーマスさんだったが、大人しめだか綺麗なデザインの指輪を2つ貰うと何にも気にならなくなった、わーい!
「ほらールーティ起きて、指輪だよ〜」
「わーい」
人差し指に指輪を通しつつ声をかけると、酔ってるルーティも指輪と聞き、喜んで指に通した。
「「わーい!」」
きゃっきゃっきゃっ
ユニもそこそこ酔っているのであった。
嬉しそうなユニとルーティを見て落ち着いたのか、話題は武闘会の内容、というかユニの魔法に移る。
「それにしてもあの魔法は凄まじかったな、あれはユニくんの切り札かい?」
「あはは……まぁそんなものですね」
使い方がまだよくわからないけど…
「そうか…私は話に聞いたことしかないからわからないが、まるで蛇神かと思うほどの姿と魔力だったな」
「まるでって言うか、蛇神って名前みたいですよ」
「あはは、そんなまさか」
「え?」
「え?」
…
「「え?」」
意味がわからず「え?」しか言えない、蛇神かと思ったよー本物ですよーで会話終わりでは?
「その、ユニくん、蛇神というのは間違いないのかね」
「はい、間違いないと思いますけど……?」
「そうか、そうか……」
「トーマスさん変ですよ?大丈夫ですか?」
「そうだな…ちょっと飲みすぎたようだ、これで失礼する」
トーマスさんはそう言い残し、別の席で飲んでいた受付嬢に声をかけると一緒に帰っていった。
お酒なんて全く飲んでなかったような…?
「ユニ〜〜眠い〜」
「そうだね、宿に戻ろっか!」
宿に戻るため可愛いモードのルーティを抱っこした瞬間、全てどうでもよくなったユニであった。
▲▲△△▼▼▽▽
「ギルド長〜どうかしたんですかぁ〜?」
そこそこ酔った受付嬢でもトーマスの様子がおかしいことには気付いた。
「うーん……蛇神がな」
「蛇神?蛇神ってあの勇者様と当時のSランク冒険者様全員の魂を使って封じたあの最悪の魔王のことですか?」
「あぁ…あれをユニくんが使役している…」
「え、えええええええ!!??!?」
「まだ本当かどうかわからん、封印している町へ連絡して封印が解けてないか確認するぞ!」
思わぬ地雷に胃を痛めるギルド長なのであった。
多分今日はここまでです!
あと1話か2話で旅に出ます、2章という扱いにするかは悩み中です。
評価とブックマーク有難いです…
これからも毎日更新するモチベを保つため、面白い、続きが読みたいともし思って頂けたら評価&ブックマークをよろしくお願いします…!




