天使、蛇神を出す
勝負は拮抗して『いなかった』
決してユニが『ブラウザバック』を乱発していたなんてことはない、事前の取り決めで『ブラウザバックが自分に発動した時点でユニは降参する』としている。
そうではなく、単純に力量が違ったのだ。
以前は技術や経験の差でルーティの方に大きく分があったが、あの1度の経験でユニが常人では考えられない成長を見せていたのであった。
(やりにっくい!)
ルーティはこのユニの変貌ぶりに歯噛みしていた。
考えてみれば当然だが、ユニはルーティの技術を栄養として成長したのだから当然ルーティが戦いにくいよう成長している。
だがそれだけでは説明出来ないことが起きていた。
ルーティが突きや払いのフェイントを仕掛けた後本命の3連突きを繰り出す、この3連突きというのは一見簡単そうに見えてその実かなりの高等技術を要求し、一撃でも入れば致命傷になりやすいという技だ。
なのだが
「っ!……ったぁ!」
フェイントには反応せず、体を捻るだけで3連突きを躱すユニ。
そして槍を手元に引き寄せる隙を狙い懐に飛び込み下から上に一閃
「ぐっ!」
ルーティはこれを上体を逸らすことでなんとか避けるが、ユニが追撃の予備動作を見せたため急いで距離を取る。
(これだ……)
フェイントは一切通じない、自信のある技も軽く避けられ鋭い切り返しを受けてしまう。
身体能力も技術も2日前とまるで違うのだ。
(なら……!)
ルーティは槍も含めて全身に『風属性の』強化魔法をかける。
もちろん彼女オリジナルの上位魔法であるが、発動後は数秒繭のような形で暴風の壁が生じるためデメリットは実質無いに等しい。
そしてこの魔法を使えば攻撃力も防御力も別格になり、穂先から風魔法を撃つことも出来る。まさに切り札だった。
これはとっておきだ、ユニには話しているが使ってみせるのは初見である。
それにユニにも『とっておき』はあるけれどまだ使用したことすらないらしいし、聞いた通りならあまり強力なものでは無い。
ルーティは地力では既に勝てないと冷静に分析していたため、切り札勝負に引きずり込んだ。
最終的にこうなると予想してたのか、やっぱりこうなるよね…と小さく呟いたユニも、切り札を使う。
「行くよ……『ウロボロス』……!」
ユニが魔法の名前を唱えると彼女の背中から赤黒いモヤモヤとした禍々しい何かを纏った巨大な龍の首のような物が生えてきた。
身体中にその禍々しい物を纏わせた龍のような化け物の顔がこちらへ向く。
じぃ……
『それ』がルーティを見る。
ただそれだけで動けなくなってしまう
(なに……これ)
見られているだけなのにルーティは理解した。
触れることすら叶わないと
一歩でも近寄ればその瞬間存在ごと消されてしまうと
全神経が警告を発していた。
そしてそんな存在が『6匹』もユニの命令を待つように低く構えている姿にルーティは完全に心が『折れた』
「こ、降参!降参降参降参!!!」
(何あの化け物!聞いてた話と全然違うじゃない!!)
始まる前の熱い展開はなんだったのか。
そんなあっけない終わり方であったが、それを見届けていた人達がいなかったため不満を言われることは無いだろう。
観客も実況も全員気絶していた試合は、歴史上初の出来事だったらしい。
主人公はこのあたりからチートです!
次の話はまだ出来ていないため、19時or深夜or明日です!
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