やっと
リョウに聞くのが一番早い。
オレは、リョウと一緒に帰ることにした。
「珍しいじゃん、時也が一緒に帰ろうなんてさ。」
「あー、うん…」
「で、どうしたの?やっぱり茜と付き合いたい?」
⁉︎
「あ、えとさ…オレって…てか、茜は、なんて言ってた?」
「フラれたって泣いてたよ」
「それって…やっぱりオレに…?」
「あたりまえだろ」
「リョウは?茜に告白されたりした?」
「ないよ?だって、茜ずっと時也のこと大好きじゃん。てか、二人は…俺からしたら両思いなんじゃないかって思ってたけど、違ったんだな」
…
「それは、あってる」
「え、じゃあ…なんでつきあわないの?時也も茜を好きならなんで?」
…
普通、そうなるよね。
「いやなんだ」
「なにが?」
「その…なんかうまくいえないんだけどさ、今は…茜を好きだけど、付き合えない」
…
「そっか、恋にも色々あるんだな」
「うん…色々迷惑かけてごめんな」
「いや、俺は迷惑なんてかけられてないぞ?」
「そっか、リョウは良いやつだな」
「なんだよそれ。」
——
オレたちが、三人で遊ぶことは、もうない。
てか、オレが茜と二人になるのが怖いのかもしれない。
いまは、茜と正面から向き合うのが、ムリなんだ。
ごめんな、茜。
オレは、茜が好きだ。
でも、もしこれから先…茜が誰かと付き合うんだとしたら、それは辛いけど、仕方がないことだ。
オレがそれを選んだのだから。
自分から離れているのだから。
そんなオレたちは、高校は一緒だったけど、大学は別々だ。
高校の間は、オレとリョウは普通に話すし、茜もリョウと普通に話す。
でも、オレと茜は…たまに話すくらいの距離感。
そして、そのまま卒業になった。
リョウが三人で最後に写真撮らないか?ってオレに聞いてきた。
リョウなりになにかしらの気をつかっているらしい。
「おう、撮ろうか!」
オレたちは、茜のところへ行って、三人で写真を撮った。
茜は、真ん中。
昔からの立ち位置。
——
それからオレたち三人が再会したのは、成人式だった。
みんな、少し大人になって見た目はかわったかな?ってくらいで、中身はぜんっぜんかわりない。
リョウとは、時々連絡をとっていた。
でも、茜は…
ほんとに必要なときしか…てか、必要最低限のやりとりしかしてこなかった。
新年の挨拶と誕生日とか。
成人式後の飲み会でも、席は離れていた。
だから、最初と最後だけ
「おう」と「じゃあな」だけの会話だった。
——
あれから何年が過ぎただろう。
やっと仕事も落ち着いて、収入も安定してきた。
これでやっと、オレのやりたいことができます。
ただ…
いまさらなので、これはもう賭けに近い。
ドキドキ ドキドキ
オレは、とある人に電話をして、今度の休みに会うことになった。
まさか、その人が会ってくれるなんて思わなかった。
次の休みの日
待ち合わせ場所にいたのは、茜だ。
いまさら何の用?って言われるかもしれない。
それは、もちろん言われても仕方ない。
だって、オレは昔…茜の心に無理矢理フタをしたんだから。
「いきなりごめんな。正直きてくれると思わなかった」
「なんでよ、呼ばれたんだから…いくじゃない」
「そっか。ありがとう」
「で、何?お金なら貸さないよ?わたしそんな稼いでないし…」
「違うよ。今日さ、大事な話があるんだ」
「なに?」
「あのさ、オレ…いまさらなんだけど、茜のことずっと好きだった」
「え?」
「売れ残っていまさら泣きついてきたんだろ?って思われるかもしれないけど、ほんとは…あのときだって、好きだった。」
「あのとき?」
「うん。わたしなんてどう?って茜が聞いてきたときもそうだし、茜が寝れないって泣いてたときも…あのときは、ごめん。ほんとは、オレも好きだって抱きしめたかった。でもさ、できなかったんだ」
「それは…なんで?」
「それは…結婚したかったから」
「え、だれと?」
「茜」
「なにそれ?なら付き合うほうが結婚に近道じゃない?」
「それは…考え方によっては、そう…なのかもしれないけど、でも大学通って働きだすと、環境もかわるじゃん。遠距離にもなるかもでしょ?その間に気持ちが離れるかもしれないし、茜だってだれかを好きになるかもしれないって思ってさ。もし、オレが一人前になる前に、茜が結婚してたり、恋人がいるなら、それは仕方ないなって思ってた。だから、高校生のときに、大人になるまでオレで縛りつけるのは、どう…なんだろうって思ってた。だから、好きだけど、見守るっていうか、我慢っていうかさ…」
茜は涙をためて、オレの話を黙って聞いてくれた。
「でね、長くなったんだけどプロポーズしたい。仕事も安定した。それで、コレ。」
ポケットから指輪を出した。
「ながく待たせてごめん。辛い思いさせたかもしれない。それでも…許してくれたら嬉しいです。茜さん、結婚してもらえませんか」
茜は、ポロポロ涙を流してよろしくお願いしますとこたえてくれた。
時也がずっと彼女つくらないのには、なにかワケがあるんだろうなって思っていたらしい。
ほんとは、リョウが好きとかねって茜は、笑った。
「ありがとう、茜」
「わたしこそ、ずっと大切に思ってくれてて、ありがとう。でもね…実はわたし…ずっと時也を待ってたわけじゃないの。この人なら時也を忘れられるんじゃないかって人に出会って…でも、結局ダメだった。付き合ったりは、してないけど…でも他の人に少し揺らいだ時期がありました。でも、結局時也を思い出しちゃって…時也は、ずっとだれとも交際しなかったし、ずっとわたしをおもっててくれたんでしょ?わたしは、失格じゃないの?」
「失格なわけないだろ、茜がだれを好きになろうと、どんな未来を選ぼうと、自由だったんだから。てか、昔リョウと水族館行ったよね?あれは、なんだったの?」
「あれは、下見。リョウが水族館告白成功したいからって。」
「あー、そうだったんだ。」
「そのときも、わたしを好きだった?」
「うん」
「もしかしてリョウにとられるかもって思わなかった?」
「思った。でも、茜がリョウを選んだなら、仕方ないし」
「強いね、時也は」
「強くはない。ただ…ごめんしかないな。」
「どうして?」
「だって、結果的にこうなるなら、一人前になったらプロポーズするって言っておけば、茜をこんなに苦しい待たせかたしなかったのになって」
「未来なんか、わからないじゃない?だから、いいんだよ。ね?そうでしょ?」
「だな。ありがとう、茜」
「こちらこそ、ありがとう、時也」
オレたちは、交際すっ飛ばしてぶっ飛ばし結婚した。
おしまい♡




