わたしは?
秋晴れの青い空をボーッと見上げるオレは、かれこれこの秋という季節を十七回迎え入れていた。
青いなぁ、広いなぁ…
「いでよ‼︎マシュマロ‼︎」
…
青空に向けて呪文を唱えてみた。
ちょっと言ってみたかっただけです。
一気にテンション爆上がりして爆下がりしたオレ。
「え、どうした?」
⁉︎
こ、この声はっ…
いつのまにか、オレの部屋のドアの前に、幼馴染がたっていた。
「あっ、茜⁉︎そっちこそどうしたんだよ⁉︎いきなり来るとか…ビックリなんだけど…」
「いや、さっき連絡したんだけど?なんなら、携帯台所に忘れてるからって、時也のママンから預かり保育してきたよん。ほれ」
オレは、茜から奪い取るように携帯をとった。
「なによ、そんなに慌てて取らなくてもよくない?」
「いや…ごめん」
茜は、オレの慌てっぷりからなにかを察してしまったようだ。
「ははーん、さては女の子からの怪しい連絡かなぁ?」
…
「イヤな顔しやがって…そんなんじゃ…」
ある。
でもここは…
「…ないよ」
と、返したんだけど…怪しまれてないよね?
チラッと茜の様子をのぞくと…
フフッって顔していやがる。
怪しい笑みが一番おそろしい。
学生の集合写真をぜひ皆さんで、怪しい笑みでとってもらいたい。
ぶっちゃけ裏切り者がいそうだが、それは写真が完成するまでは、写真を撮影した人のみが知る。
なんか、それって楽しそう。
特に、先生のニヤリみたいかも。
学年主任とかいつもこわい先生こそ、いい顔してそう
でも、言い出しっぺのオレしか、怪しい笑みしてなかったら、一生笑われる。
やっぱり、その提案は…却下だ。
「ないって言ってるんだから、その怪しい笑みは、やめたほうがいいんじゃない?」
「いやいや…隠さなくてもいいよ?思春期なんだからいいじゃない。好きな人の一人や五人くらい」
⁉︎
一人や五人だと⁉︎
それは…幅広いだろ…
「えっ、茜…好きなやつ何人いるんだよ…」
「ひとり」
「あー、だよな。」
⁉︎
えっ⁉︎
茜…好きなやついるんじゃん‼︎
サラッと言うじゃん。
だれだよ⁉︎そいつ連れてこいよ‼︎
「えと…茜は、好きな人いるんだ?」
「うん。時也は?いる?てか、わたしなんかどう?」
「は?茜は…ないだろ。」
「ひど…もういい。はい、これクッキーあげる。リョウにもあげるからわたし帰るよ」
とっさに、ないとか言ってしまった…
茜は、クッキーを乱暴において帰ってしまった。
正確には、リョウのところへ行った。
リョウとは、幼馴染だ。
そう、オレたち三人は幼馴染なのだ。
なんで…なんでオレは、茜はないなんて言ってしまったのだろう。
そして、なんで茜は…先にオレのところへ来たのだろう。
時也のところへは、ちゃっちゃと用事すませて、ゆっくりリョウとすごそうってやつか?
あ…
もしかして茜の好きなやつって…
「コンコンコホン」
と、またもやドアから茜の声がした。
「なに?やっぱりオレが好きって言いにきた?」
「は、そんなわけ…てか、忘れものしたんだし。携帯時也のテーブルに置いたの。返して」
「おう、これだな。てか、なか入ればいいじゃん」
「いや。時也きらい」
⁉︎
「なんだよそれ。幼稚園児みたいにぐずるじゃん」
「ふん、いいもん。リョウに慰めてもらうもん。時也のばか」
茜は、オレから携帯を奪いとって、ほんとうに今度こそリョウのところへ行ってしまった。
バカだなぁ。オレ…
なんで素直になれないんだろう。
その日の夜、かなり落ち込んで闇落ち気味のオレのもとに、リョウから電話がかかってきた。
「茜になんか言ったんだって?茜落ち込んでたぞ?」
ってさ。
へえ、茜…やっぱりガチで慰めてもらいに行ってんじゃん。
「…オレは…いや、なんでもない。」
「なんだよ、言えよ?」
「いい。てか、電話なんて珍しいな。どうかした?」
「あー、来週の土曜日なんだけど、三人で水族館行かない?」
え…
そりゃ、前は三人でよく出かけたけどさ…
今は…今はもうそういうんじゃなくて…
なんか…な。
「オレは遠慮しておくよ」
「そっか。残念だけど了解」
二人が付き合うのも時間の問題かもな。
あの二人なら、お似合いだ。
茜は、オレがもし違う返事を返していたら、どうしてたのだろう。
…
どうもしないか。
茜は、リョウが好きなんだよな。
よくリョウのところにいってるみたいだし。
ボスんとベッドに転がると同時に、リョウからメッセージが届いた。
(俺、今度勇気出して好きな人にデート誘う。だから、時也も頑張れ)
って。
え、これって…
伏線張られた?
モタモタしてると茜を奪いますってこと?
…
(ガンバレ)
オレは、この四文字を送ることで精一杯だ。
ボーッと携帯画面をみつめた。
オレの待ち受け画面は、茜の大好きな花だ。
こんなの見られたら、バカにされるかな…
それとも、キモがられるかな。
どっちでもいいか。
もう、嫌われたんだもんな。
——
土曜日、カーテンをあけたら、ちょうど茜がでかけるみたいだった。
…
あ…リョウだ。
茜が家を出たと同時にリョウがちょうど迎えにきたみたいだ。
…
二人って…もう付き合ってんのかな。
今日って…水族館に行く日だよな。
…
オレは、そっとカーテンをとじて二度寝した。
寝れないけど、布団に転がっていた。
…
あーもう‼︎
好きっていうのは、簡単なんだよ…
でも…
——
その数日後だった。
リョウがオレに、彼女できたって報告してきたのは。
続く。




