level.31 よめ(?) は いきりたって おそいかかった!!!!!
――こほん。
では張り切って……おりんちゃん、どうぞ。
「ひっ捕らえろ!」
『ごーごー!』ですっ!!!!!!
「な……で、で、出たぁ……“妖怪”だぁっ!」
「これが“噂の妖怪軍団”……逃げろぉぉ、全力で、全力で逃げろぉぉぉ」
「ヤツらを生きて出すな! 《食人木》、噛んでよし!」
「ひえっ、ひえっ。“妖怪軍団”……お願いしますぅ、僕を殺さないでっ」
「オラア、サッサと逃げるんだよッ! 掘り出した万能資源『 POW 』を、とにかく風呂敷に包めェ!」
さあさあ……楽しくなってまいりました。
ぐへへ。すっかり私も悪役が板につきました。
蜘蛛の子を散らしたように必死で逃げ惑う〈にんげん〉どもを見ると
ついつい心が弾みます。
あの頃の『おふぃすわーく』時代には戻れませんな。
うひょひょひょ。
森のいたるところで大口を広げる《食人木》。
そして本体は一体どこ?
白くて長い首をぐるぐる巻きつける《大首》。
恐ろしげな《山姥》が研ぎ澄まされた庖丁を振りかざし、
両手に持つ火打石をかちかちして
《丑之刻舞利》は楽しそうに横で踊りますぅ~。
「もうやめてっ! 私たちのHPは残ってないのっ! 万能資源『 POW 』は、ここに全部置いていくから! だからお願い、お願いだから見逃してちょーだい!」
げへげへ。
だったら始めから来るなぁ。
やるんじゃない、そんなこと。
「ひい。あの“経験者”はどこ行った……? はやい、はやいよ逃げ足が。あんなに山積みだった万能資源『 POW 』が、いつの間にかごっそり消えているし……残された俺たちはどうなるっ!」
「やっぱりここは、俺たちの『れべる』じゃ無理だったんだ!」
「当たり前だ。ちなみに推奨レベルは四十より上だ。入り口に立てておいた親切な立て看板が、お前たちにはどうして見えないんだ。あれほど赤いマジックペンで強調しておいたのに……まったく。少なくとも、今度はフル装備で来るんだな。特に――そこのお前、《革の胸当て》なんて軽装で来られると【迷いのマの森】支店の“格”が疑われる。ここは格式高い“プロフェッショナル仕様のダンジョン”ということを忘れるな。ビギナーは最初からお断りだ」
ひゅう。かっこいい……。
「なあ、戻してくれるんだよな? 俺たちが次に目覚めるのは、街の【宿屋】だよな? こんな場所で『げーむおーばー』には絶対ならないよなぁ」
「通常ならな」
「ああっ、よかった~。これで、かあちゃんに会える」
「だが今回はダメだ。掘り出した『 POW 』と共に、お前たちは森の一部となってもらう」
「う、嘘だろ……そんなの、そんなの“お約束”が違うじゃないかっ! そんなの絶対に許されないぞっ!」
「もうしない。秋の新作なんて欲しくない。だから帰りたい、私を帰して!」
「黙れ」
とっても凛々しい、おりんちゃんに、私の『はーと』は鷲掴みにございます。
もっと、もっと強くぎゅっとして!
「この森は“本社へと至る最後の試練”。【アンゾルゴンのア大灯台】のように、すべてのモノに開かれてはいない。奇妙な話だが、我々が歓迎するのは大殿に挑むことを許される、選ばれた〈ニンゲン〉――つまり〈光のモノ〉のみ。お前も私も、決められた“お約束”の範囲内で自由だ。だが、“ルールから外れる選択をしたお前たち”に『次へ』はない」
彼らに裁きが下ります。
“あのお方”の表情が、すっと消えました。
「気にするな。これはすべて、私の独り言だ。安らかに眠れ」




