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ライトノベルがドチャクソ売れたので、俺をイジメていた女子連中に自慢する痛快ざまぁwww  作者: 伊藤テル


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18/18

【18 いつものルーティン】

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・【18 いつものルーティン】

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 朝起きて歯を磨いて、軽く朝ご飯の準備をする。

 昨日ボウルに入れていたキャベツの千切りは、すごもりキャベツにしてフライパンで熱する。最後に卵をキャベツの中央に入れて蒸し焼きにしたら完成だ。

 基本目玉焼きのような卵は醤油で食べたほうが美味しいけども、この時だけは中濃ソースで食べたほうがいいので、先にテーブルへ中濃ソースを置いておく。

 ベーコンなどの超加工食品は身体に悪いらしいので、極力使わない。

 とは言え、あの超加工食品という言い方は好きじゃない。豆腐も加工し過ぎているけども、健康食品だから。

 豆腐だって相当の超加工食品だ。大豆がこんな四角くて白いぷるぷるになっている。加工の度合いで言えば、こんにゃくと競っていると思う。

 そんなこんにゃくだって身体に良いと言われているし。超加工食品なんて言い方、今すぐ辞めてしまえと思っている。

 朝はタンパク質を摂取したほうがいいので、卵の他にも湯豆腐を用意する。豆腐を温める時は昆布を一枚入れると、味に深みが出る。

 その時に使った昆布は後で取り出して、ハサミで刻み、めんつゆで煮詰めて箸休めにするので、ちゃんとSDGsである。

 豆腐は和風と思われがちだが、別に普通に洋風の食事にも合う。とは言え、今日はご飯を炊いているけども。

 来水の朝は気分によって変わるので、白米も食パンも両方用意しておき、またおかずが和か洋かどっちかに寄ることもしないようにしている。こっちでは決めないようにしているというか。

 朝はスープの類をインスタントにしてもらっている。そこで和か洋か自分で寄ってもらう感じだ。

 来水が朝の執筆を終えて、居間に来る。

「いつも有難う」

 と言ってくれる来水は本当に人間ができていると思う。

 俺もいつかそうなれば、と思っているけども、いつかちゃんとした人間になれるのだろうか。

「今日はコーンポタージュにしようかな」

 と言ったので、即座に食パンをオーブントースターで焼き始める。

 来水が選んだスープによって、その日の主食が決まる。

 食パンをオーブントースターで焼く時は、少しだけ霧吹きで水を掛けることがポイント。

 そうすることにより、適度に湿り気というか、ふんわり感が戻り、一日経った食パンでも美味しく食べられるのだ。

 二日経ったら、フレンチトーストやホットサンドにし、耳は揚げてラスクにして、おやつに出すようにしているが、まあまだ一日経っただけなのでこんな感じでいいだろう。

 来水がコーンポタージュを器に入れて、アイランドキッチンの奥にあるポッドでお湯を入れたところで、そろそろ焼き上がるタイミングになる。

 座った時に焼いた食パンを皿の上に置いて、来水と一緒に食べる。俺は食パンは焼かない派なので、そのまま食べる。

 案の定、来水は中濃ソースを手に取り、すごもりキャベツに掛けて食べ始めた。

 すると来水はふとこんなことを言い出した。

「というか待たせ過ぎじゃない?」

 今日はかなり完璧に朝ご飯を準備できたと自負していたのだが、まさか何か待たせてしまっていたのだろうか。

 食後のヨーグルトは来水が自分で味を選ぶから、俺が持ってくることは無いし、そもそも来水は常温に戻っていくヨーグルトを嫌うし。

 俺はおそるおそる、

「な、何が……」

「プロポーズしてくれたっていいのに」

 突然の言葉に唖然としてしまっていると、

「婚前交渉しないのは分かるけども、そろそろアタシは我慢の限界っ。プロポーズしてよ、受けるからさ」

 俺はう~んと唸り声を上げてから、

「プロポーズっていつすればいいの?」

 とつい聞いてしまうと、

「今でもいいよ」

 と、あっけらかんと言われてしまい、正直焦ってしまった。

 俺ごときが、まだ人間にもなれていない存在が女性にプロポーズ? いやいや絶対まだ早い。

 でも来水の瞳を見れば分かる。本気中の本気。すぐにでもプロポーズを受けてやるという野心に燃えている。

 俺は後ろ頭をかきながら、

「それはまあ改めて、プレゼントも用意して」

 と先延ばしにしてしまうと、来水は頬を膨らませながら、

「一ヶ月以内にしてよ、もう本当に我慢の限界」

 と言われてしまった。

 一ヶ月以内にプロポーズ……もう多分、一ヶ月程度で俺は真人間になれるはずがない。

 ということはせめて気の利いたプレゼントを用意しなければ、そう思いながら、食事を終えて、食器洗いをして、洗濯し終えた服を干し始めたわけだけども、正直何も浮かばない。

 こういうことは女性である店長に相談したほうがいいのかもしれない。俺なんかが一人で考えても訳分かんないモノをプレゼントしてしまいそうだ。

 勿論、指輪の類は却下だ。なんせコンビニのバイト代だけでは買えないから。そもそも俺以上にお金持ちの来水にお金の値段で誠意を示すことはズレている。

 そりゃ相手の年収が自分よりちょっと程度上くらいだったら、指輪でいいかもだが、俺と来水の稼ぎは雲泥の差だ。

 そのくらいの差があって指輪は正直おこがましいと思っている。

 まあとりあえず豪華な、手の込んだ料理を用意することは勿論のこと、それをプレゼントとするのも変な話だ。だって食材費は来水のお金なわけだから。

 とにかく一人で悩んでも仕方ない、今日のバイトで店長に……というわけで、

「というわけで、なんですけども」

 と俺が年下だけども本当に頼りがいのある最高の女性店長につらつらと現状を述べると、

「そんなお金持ちなん? あの彼女!」

「まあそうなんです。俺なんかよりもいっぱい努力して」

「いや別にお金持ちって努力は勿論時の運もあるから、溜口くんが全然努力していないとは思わないけども、そっかぁ、それだと確かに指輪って微妙かも。いやでもそれでも指輪って案もあるけどね。あういうのって真心でもあるから」

「真心ですか……」

「あんま真心という言葉、好きじゃない感じ? まあ言っててあたしも好きじゃないけどもっ」

 そう言って笑った店長。

 俺も吹き出しながら、

「いや好きではないんじゃないですか」

「ままっ、そなんだけども、う~ん、どうだろう、じゃあその彼女の仕事道具というか、仕事内容にちなむのもお洒落でいいかもね」

 ちなみに店長に来水が小説家ということは言っていない。それは個人情報の観点で。

仕事道具か、でも仕事道具ってパソコンくらいしかないわけで。パソコンは絶対自分が使い慣れたもののほうがいいだろうし。

「あたしが言えることはまあそれくらいかな。ゴメンね、あんま責任も負いたくないから。仕事以外に責任なんてゴメンだね。いいや仕事も責任持ちたくねぇ」

 と舌を出した店長に俺は笑ってしまった。

 店長もガハガハ笑って、業務に就いた。

 いつも通りにコンビニのバイトを終えて直帰した。

「ただいまー」

 と声を上げると、来水はいつも玄関まで出迎えてくれる。

 全然自分の執筆を優先していてくれて構わないのに。

 俺は干した洗濯物を畳んで、今日のメニューを考える。

 朝ご飯を食パンにした日は和食を好む傾向にあるので、味噌汁をマストで作って、折り菜のおひたしもいいかもしれない。

 いやただおひたしにするより、油揚げと刻み生姜と一緒に煮て、身体が温まるおかずにしたほうがいいかも。

 来水はあまり焼き魚を好まないけども、骨をとってあげると喜んで食べる。またはよく噛めば骨ごと食べられるししゃもとかはちゃんと食べてくれる。

 今日のスーパーはそのあたりが安いお店に行こうかなとチラシを確認し始めた。

 バイトへ行くようになり、昼ご飯はそれぞれになったので、夕ご飯はできるだけ手の込んだモノを作りたい。

 スーパーへ行くと、鯛のお頭などが入ったアラが安く売っていたので、これを塩焼きにして、骨が無いように身をほぐしてあげて、食卓に出すのもいいなぁ、と思った。

 帰り道、俺は緊張しながらも市役所から婚姻届をもらってきた。

 これにサインすれば正式に結婚することができる。

 全然まだ早いと思うけども、来水が待っているので、プロポーズするしかない。

 するしかないというか、普通に俺だってしたいし。

 そりゃ結婚したい、俺は来水と結婚したい。

 サインか……と思った時、一つアイデアが浮かんだので、俺はもう一ヵ所寄ってから帰ってきた。

 何日か経ったのち、ついに今日、プロポーズすると意気込んで、バイトは休むことにした。

 朝ご飯を作り終えてから、ずっと料理を作ることに。

 来水は意外とラーメンが好きだ。だからラーメンをスープから作ることにした。勿論、炒飯も餃子も作ろうと思っている。

 でも一度に食べ過ぎると太るので、昼ご飯は作りかけながら多少なりに整えたラーメンスープと炒飯にした。

 来水は夕ご飯が楽しみといった面持ちだった。それと同時に今日がプロポーズだと勘付いている風でもあった。まあそもそも隠す気は無いので、それでいいんだけども。

 夜になり、来水が席に着いたところで、最後の仕上げ、麺を茹でて熱々のまま来水の目の前にお椀を置いた。

 それを来水は笑顔で食べてくれて、

「すごく美味しい!」

 と言ってくれて本当に良かった。

 さて、食べ終えたところで居間の棚の中に隠していた本とペンを来水の元へ持っていき差し出した。これは決してプレゼントではない。むしろ俺がプレゼントをもらう側だ。

「来水、この本にサインを書いて欲しいんだ。俺はこれを一生大切にする」

 来水はプフゥッと吹き出して笑ってから、

「これに結婚契約ってこと? いいじゃん、洒落が利いてるじゃん」

 来水は俺が差し出した『放課後逆転ストロボライト』にフルネームでサインしてくれた。

 俺は立った状態のまま、

「俺と結婚してください」

 と頭を下げると、来水もイスから立ち上がる音がして、

「勿論、結婚しよう。大好きだよ」

 と言って初めてハグをした。

 勿論ただ抱き締め合っただけだけども、ゆっくりその先へ進んでいきたいと思った。


(了)

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