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今朝デブが配達されてきた。
まだ朝の七時にもならないうちにアパートのドアがどんどんとやかましく叩かれ、俺がしょぼつく目をしばたたかせて外に出ると、緑色の制服の小男がニタつきながらお辞儀した。
「朝早くにどうも、デブの配達です」
運送屋の背後には廊下の天井にこすれるほどの大きな影がそびえたっていた。男の顔はぱんぱんにふくれ、Tシャツの腹と袖ははちきれんばかり、まさに巨大な肉ボールだった。
「……なんだこのデブは」
「だからデブの配達ですよ」
「なんでデブなんだ?」
「だから連れてきたんですよ。デブを。ここに受取を」
あまりの理不尽さに怒りがこみあげてきた。
「きさま……俺もデブと言うつもりか。確かに今じゃ80キロ近いがな、好きで太ったんじゃないぞ。一人暮らしで外食ばっかりで…… 高校までは70キロもなかったんだ。そのうちトレーニングで体重を……」
「へへ、皆さんそうおっしゃいます」
無理やり俺に受取証にサインさせると運送屋は帰っていった。
しばらく俺とデブは向かい合う。
デブは細い目をさらに細めながらひゅーひゅーとのどぶえを鳴らしてる。何もしてないのに額に汗を浮かべてる。立ってるだけでも暑苦しい。相撲取りかこいつは。
仕方ない。このまま廊下に立たれてるとやっかいだ。
あの口やかましい茶髪OL姉ちゃんがまた怒鳴り込んでくる。しまいには大家のおばさんにチクられて「なんなのあのデブは」と怒られて追い出されるかもしれん……
舌打ちして声をかける。
「おい、入れよ」
俺が声をかけるとデブは嬉しそうな表情になって頭を下げた。だが入ろうとしてドアのかもいにガンと頭をぶつけて涙目になった。




