夏休みの始まりは⋯⋯
「うっわ⋯⋯。大きな別荘⋯⋯。」
夏休み初日。
私はお菊ちゃんの家の別荘に来てる。
隣では海が目を見開いて見上げている。
ことの始まりは、あのケーキバイキングの後⋯⋯。
私と、ゆうちゃんとお菊ちゃんで、Aクラスへ行ったの。
だってお菊ちゃんが「早く誘ってこい」ってしつこくて!
Aクラスは⋯⋯別棟にあるのね。
きれいで、すごく差を感じるよ!
Aクラスの前で、ゆうちゃんと「どうしよう」ってソワソワしてたら。
「あれー? 小泉じゃ〜ん。何してんの? お前。」
不意にかけられた声。
声の主は、
「でんでん!!」
でんでんだったの。
「もしかして、堂本さんに用?」
えっ?!
「なんでわかったの?」
びっくりする私。
でんでんはニヤッと笑うと、
「ん〜。堂本さんが、『Eクラスってどこだっけ?』ってオレに聞くわけ! もう、ピンときたよ。オレのこともいつまでも『でんでん君』って呼ぶしさ! あの方も普通の高校生なんだなぁと、感動したわ。」
でんでんはなんかよく分からないことを言うと、
「ちょっと待ってな。やっぱほら、ほかのやつらは、Eクラスって見るとやな反応するからさ。オレはお前気に入ってるけど。周りはさ! 呼んできてやる。」
そう言ってAクラスの中へ。
「ちょっと! 何あの金髪つり目!!」
お菊ちゃんがそう言って目を見開く。
うん。みんなそう言うね。
「Aクラスのでんでんだよ。電気を使う能力だって。野外研修一緒だったの。ガイドのときもそうだけど、なんかよく分からないこと言ってたけど。堂本さんを呼んできてくれるって。」
私がそう言うと、
「やだぁ〜いいじゃん。あれも誘う!」
お菊ちゃんは大興奮。
「あ! まなみっ。来てくれたんだね。」
堂本さんはニコニコしながら私のとこに。
「あ! そうなの。あのね。ケンケン! 実は。」
私はゆうちゃんとお菊ちゃんを紹介して、夏休みの話をした。
⋯⋯という経緯で、無事にお誘いはできたわけなんだけど。
改めまして、現在。
私と海は、目の前にある大きな立派な別荘を見上げている。
家まで、お菊ちゃんの家のお迎えの車が来てくれて。
リムジンね!
ママと車見てびっくり!
ママは「気をつけて行ってくるのよ〜? 楽しんでね!」って送り出してくれた。
車の中には海がいて。
海もお呼ばれしてたんだね!
そんなこと思いながら。
お菊ちゃんちの大きな豪華な別荘の中へ入る。
「大きいよね、お菊ちゃんち。すごいよね。」
「まなみ。お前知らないの? 菊池んちって、kikuchiだぞ?」
え?
ええっ?
「あ、あの、テレビや電話とかの有名国産メーカーの?! 世界のkikuchi?!」
ええええっ?!
私の携帯電話もkikuchiだけど?!
聞いてない! 聞いてない!!
たしかにお家も大きかった!! ものすごく!
「お前、何も知らないのなあ。と、いっても、オレも最近桜井から聞いたんだけど〜びっくりだよなあ。菊池自体は普通なのになぁ。」
なーんだよぉ。
海も知らなかったんじゃん〜。
でも。Eクラスは無能とか言われてるじゃない?
それで義務教育より上へ行かせるのは、お金持ちか変わった家とかよく言われてて⋯⋯。
まさかお菊ちゃんちが、kikuchiだったとは⋯⋯。
でも! 私はお金持ちとか、有名な会社だからとかで、お菊ちゃんといるんじゃないもん!
お菊ちゃんだからだもんね!
あれ?
ふっと思った。
「あれ? よーちゃんは?」
「ん? 洋平は知らない。」
お菊ちゃん、よーちゃんは誘ってないのかな?
「洋平くんは、来ないよぉ〜。夏休みの前半は忙しいって言ってたの。だから誘っても来ないじゃない? だから誘えなかったのぉ〜。」
別荘の中からお菊ちゃんが出てきて、そう言った。
「あ! お菊ちゃん!!! 今日はお招きありがとう〜。大きくて、びっくりだよ!!」
「んふふふ。どういたしまして〜。」
奥から
「まなみ〜」
ゆうちゃんが駆け寄ってきた。
「すごいよね! 豪華で素敵なの!」
ゆうちゃんは大興奮!!
「まなみ様、海様、まずはお部屋にお荷物を。」
お屋敷の方にそう言われて、お部屋に案内される。
「早く荷物置いてね〜。そしたらプールに行こうよ〜! 水着の用意はあるからね! 手ぶらで来てよぉ?!」
お菊ちゃんの大きな声。
「はーい。」
なんか楽しい夏休みになりそう〜。
「わ! すごくかわいい水着」
用意された水着を着て、鏡の前でじぃっと見ちゃった。
ワンピースの水着は薄いピンク色。控えめなフリルがかわいいの。
「かわいい! まなみ!」
ゆうちゃんはセパレートの水着。
「ゆうちゃんは、セクシーねぇ」
案内されてプールへ向かうと。
「えー、お前おとこぉー?!」
すっごく大きな声がした。
なになに? でんでんの声かな?
「どうしたの? でんでん?」
私が駆け寄ると。
「いやー、どーしたもこーしたも。菊ちゃんって男?!」
えー?
でんでん今頃?
お菊ちゃんは心は乙女だけど。男の子だよ?
まぁ見た目は儚い美少女風だけどね。
でも。お菊ちゃんは⋯⋯。
心は乙女だけど。
本質は男の子だと思うけどなぁ?
でも。お菊ちゃんはお菊ちゃん。
「でんでん何言ってんの? お菊ちゃんはお菊ちゃんだし。いいじゃん!」
ゆうちゃんがでんでんにそう言う。
同じこと思ってて嬉しい♪
「! お前ら、すごくかわいいな。」
でんでんは私とゆうちゃんを交互に見てそう言って、顔を赤らめる。
「でんでん! かわいい! 一緒に泳ごう!!」
ゆうちゃんはでんでんの腕を掴むと、一緒にプールにダイブした。
わー! 水しぶき〜気持ちいい〜。
「まなみ! 今ついたんだね!」
後ろから声をかけられ振り向くと、
「ケンケン!」
ケンケンがいた。
ケンケン無事これたんだね!
「ケンケン! お出かけするの駄目かと思ったよ。ボディガードさんとか平気だった?」
「問題ないよ。菊池君が、あのkikuchiの御曹司だったとはね。セキュリティが完璧なわけだ。」
「私もさっきその事実を知ったの。どうりであの有名店のケーキバイキングご招待券たくさんあるはずだよぉ。」
私はしみじみそう思った。
「ケーキバイキング?」
ケンケンが私にそう尋ねる。
「ん? ケーキをたくさん食べられるんだよー!」
「へぇ、いいねぇ。」
「今度お菊ちゃんに言ってみんなで行こう!」
ケンケンは嬉しそうに、
「楽しみだなぁ。」
そう言って笑った。
「まなみ〜プールおいでよ〜気持ちいいよ〜!!」
ゆうちゃんがでんでんと手を振る。
「うん! 行こう! ケンケンも!」
プールは気持ちいい〜。
太陽もキラキラしてるのね。
でもあまり暑くないというか⋯⋯。心地いいの。
「紫外線カットのドームなの。自然な感じで、外にいるみたいでしょ?」
お菊ちゃんがそう言って浮き輪でプカプカ浮いてる。
へー、さすがkikuchi!
「こういう夏休みっていいね。」
ケンケンは嬉しそうに微笑む。
うん!いい夏休みが始まった感じだよね!




