番外編〜最後まで覚えているのは⋯⋯
「まなみ、ごめんね⋯⋯」
え?
誰?
目が覚める
⋯⋯あぁ夢か。
最近明け方に見る夢。
大抵涙を流して目が覚める。
とても懐かしいような⋯⋯寂しそうな誰かの声。
この声は⋯⋯
そういえば昔見たドラマのシーンを思い出す。
⋯⋯最後まで覚えているのは⋯⋯姿?それとも声?
⋯⋯姿⋯⋯
姿はまだ⋯⋯思い出せる。
小さい頃から一緒にいた⋯⋯
ううん。小さい頃からはいないのか⋯⋯あれは植え付けられた記憶。
幼馴染のよーちゃん。
よーちゃんの闇を気づけなかった⋯⋯
よーちゃんは禁忌を犯し、砂となり消えてしまった。
でもあの声は⋯⋯たぶんよーちゃん。
でも、今はもう、不確か⋯⋯
きっと、最後まで覚えているのは⋯⋯声じゃない⋯⋯
声はこの後思い出せなくなるのかな⋯⋯
でも、姿は⋯⋯まだ⋯⋯思い出せる。
今日は休みだから
私は家を出てあるところへ向かった。
そこは私と海の家の近く。
よーちゃんの家
⋯⋯だった場所。
あの後、屋敷のあったところは取り壊されちゃって、今は空き地。
「あれ?だれかいる?」
空き地に誰かが立っているのが見えた。
「海!」
そこには海がいた。
海は私の声に振り返る。
「まなみか⋯⋯」
「海⋯⋯どうしてここに?」
私が尋ねると海はフッと笑いながら。
「んー夢をみたんだよなぁ。何か霞んでて声しか聞こえなくてさぁ。でも⋯⋯多分、洋平の声だった。」
声⋯⋯
「海も⋯⋯か」
「ん?まなみも?⋯⋯じゃあまなみのスキルでか?」
海がつぶやいた。
「んーわかんない。違うと思う。」
「そうか⋯⋯」
海は黙って空き地を見つめる。
「どんな夢だったの?」
私が海に聞くと
「んー?あんまり覚えてないんだけど、洋平がさぁ⋯⋯なんか話してる夢。でも目覚める前だったのかな、なんかうろ覚え。そしたらここに来たくなったんだ。⋯⋯まなみは?」
海が私を見つめる。
「うん⋯⋯声を聞いたの。よーちゃんの。でもね、こんな声だったかな?って、なんかうろ覚え。声って忘れちゃってるんだなぁって思って。ここに来たくなった」
私が言うと
海はフッと笑って。
「声かぁ⋯⋯そうだなぁ。姿はまだ覚えてるのになぁ。⋯⋯そうかぁ⋯声って忘れるんだな。確かに大して覚えてないや⋯⋯」
「うん⋯⋯姿より声なんだよ」
「でも⋯⋯あいつはオレたちに記憶を植え付けただけで、何とも思ってなかったんだよな⋯⋯そう思うとさ、残された方は損だよなぁ⋯⋯」
海はそう言って空き地を見回す。
そして、フッと笑って
「悪いことしかしてねーのにな!アイツ!」
「ねぇ?海⋯⋯もっと早く気がついてたら変わった未来もあったのかな⋯⋯」
私が言うと
海は空を一瞬見上げ私を見た。
そして、少し大きな声で、
「ないよ。違う未来なんか。この未来が真実だ。あいつは禁忌を犯すバカヤローだ⋯⋯」
そうはっきり言った。
「⋯⋯うん」
「だから、もうここには来ない。洋平の声は⋯⋯もうほとんど思い出せないしな!」
「うん」
「でもさぁ、声から忘れるんだなぁ⋯⋯」
「うん」
私は空き地を見回す。
思い出せなくなるのは声⋯⋯
姿もいずれ忘れちゃうのかな⋯⋯
ちゃんとさよならできなかったから。
私は空き地を見つめ
「よーちゃん。さようなら。もう来ないね」
そうつぶやいた。
「まなみ、行くか!なーんか腹減ったなぁ〜」
「ふふふ。本当だ!!なーんかたくさん食べたいね!」
私は海と空き地を後にした。
さて!なーんか美味しいものたくさん食べ行こう!!
2部完結後の番外編第4弾です!
今回はいなくなってしまったよーちゃんを思い出した話でした。
もう少し書ければなと考えています。
(現在未定)
応援いただけたら励みになります!
ご評価いただけたら嬉しいです。
よろしくお願いいたします!
新連載を開始しました!
そちらも読んでいただけたら嬉しいです!
https://ncode.syosetu.com/n5923mx/




