野良猫、最終回
現在地、グアム。本日雲一つない晴天である。今回この場所に来ている目的はただ一つ。夜斗と玲央の結婚式である。籍は夜斗が京極家へ養子に入る形で落ち着いた。京極夫妻は夜斗の事を大層気に入っており玲央と共に挨拶に行った際には抱きつかれるほどに大歓迎をされた。
「......海外で結婚式とか実在するんだな。ビンボーだったオレからすると夢の様な話しだぜ」
「そうかい?今じゃ海外の方が同性カップルに寛容的だからね。......それにしても本当に僕の両親を呼ぶだけの式でよかったのかい?もっと派手にしても良かったんだよ?」
「オレに呼べるような人間、いると思うか?......二人きりでも良かったけど、玲央パパと玲央ママは大好きだから来て欲しかった」
顔を真っ赤にしながらそう告げる夜斗に、玲央は可愛すぎて辛抱たまらん!!と思いっきり抱きしめた。
「そんなに顔を真っ赤にして......!恥ずかしがらなくてもいいんだよ?」
「!ち、ちがっ!顔が赤いのは暑さのせいだから!!ほら!早く式場に行くぞ!」
もう夜斗はやけになって玲央の腕を解く。そしてタクシー乗り場でタクシーを捕まえて」乗り込んだ。
「玲央パパ達はもう着いたかな?」
「さっきホテルにチェックインしたって連絡来たから式場にもすぐ向かうって」
夜斗はなんだか緊張で落ち着かない様子だ。さっきからソワソワしっぱなしである。そんな夜斗の手を玲央は優しく握ると、自分の口元に持っていくと口づけをした。
「ちょ!玲央!ここタクシー......」
「夜斗。何も心配いらない。これから幸せになるために神様に誓いを立てるだけ。だからきんちょうしないで。ね?」
玲央の言葉が夜斗の心にすとんと落ちると、夜斗は玲央の肩に頭を乗せた。そしてしばらくすると、会場である式場へと辿り着いた。
「......スゲーとこだな」
「一番歴史のあるところを選んだからね。さ、着替えに行くよ」
いくら同性婚とは言え着替えは別々らしい。玲央は新郎側に。夜斗は新婦側に通された。部屋に入ると、真っ白いタキシードが鎮座していた。これに着替えるのか......と思いながら式場スタッフに手を借りながら慣れないタキシードに袖を通していく。そして着替えが終るとヘアメイクへと移った。ヘアメイクをしてもらってる最中、コンコンとドアがノックされ玲央ママが姿を現した。
「夜斗ちゃん!今日はおめでとう!いいお天気で神様に愛されてるわね!」
「玲央ママ......ありがとうございます」
「フフッ。緊張しているみたいね」
「......緊張しない方が無理ですって」
けれど玲央ママが来てくれたお陰で幾分か気持ちが楽になった。そうこうしている間にヘアメイクが終ったようだ。
「さ、私は先にお父さんとチャペルで待機していますからね」
「......はい」
そう言うと玲央ママは控室から出て行った。夜斗は玲央ママと入れ替わりに入ってきた玲央の姿に思わず見惚れてしまった。
「......玲央、かっこいい」
「夜斗も。十分可愛いよ。さ、行こう。神様に僕らのこれからを誓いに」
「あぁ」
二人はスタッフに導かれるがままチャペルへとやって来た。――いよいよ、この時が訪れた。飼い主と野良猫と言う関係から始まり、恋人となり......そして今日からは夫夫となる。まぁ、夜斗はいつまで経っても玲央にとっては可愛い猫らしいが。さぁ、誓おうじゃないか。今度こそ幸せにしてくれよ、神様。愛する玲央と共に。




