野良猫、決して一人にしない
「ヨル。仕事が出来るように整えてきたんだけれど...。もし無理そうなら...」
「オレは大丈夫だよ?安心して仕事させてよ。」
「しかし...。」
玲央は夜斗の泣き腫らした目を壊れ物にに触れるかのようにそっと手をやる。玲央はあまりにも痛々しい顔をしている夜斗に気を使うが、夜斗は何でもない様子を見せる。一体何の夢をみたのだろうか?夜斗の心を占めているものはなんなんだ?玲央はなんだか面白くない気分でいっぱいだった。
「ヨル。君の心を占めているものはなんだい?」
「なんだよ、急に。今はレオ。お前だけだぜ?」
夜斗はわざとふざけた様子を見せたが、玲央は真剣な面持ちで夜斗を見つめた。
「レオ。何をそんなに慌ててるんだ?...っておわっ!!」
玲央は夜斗をベッドへと押し倒すと、何やらぶつぶつと呟いている。夜斗はそんな玲央に少し不気味さを覚えてしまった。
「ヨルは僕だけの物なんだ...。誰にも渡さない。絶対にだ...!!」
「お、おい。レオ?どうしちゃったんだよ?落ち着けって。...んン!」
玲央は夜斗の口を無理矢理塞ぐと、夜斗の身体をまさぐり始めた。そして、力任せに夜斗の服を脱がすと慣らしもしないで自身の欲を夜斗にぶち込もうとした。
「お、おい!レオ!落ち着けって!...!!レオ!!」
「!ヨル...?僕は一体...?」
とりあえず玲央の暴走は止まったが、夜斗は玲央に対して恐怖心を抱いてしまった。しかし、今それを表に出すと玲央を傷つけてしまうと思い、なんとか抑え込むことに成功した。
「レオ、今のオレの飼い主は誰だ?...お前だろう?何をそんなに怖がる必要がある?」
「..."今の"、か...。いずれかは去って行ってしまうのだろう?」
「それはどうかな?お前次第だぜ?」
そう言うと、夜斗は玲央を抱きしめた。玲央の身体は小さく震えていた。何をそんなに怯えている?所詮気まぐれで拾っただけの野良猫だぞ?夜斗の頭は疑問でいっぱいになっていた。
「なぁ。なんでそんなにオレに執着するんだ?オレの知らないところで会った事でもあるのか?」
「それは...。ごめん。まだ言えない。だけど、どうか僕の元から消えないでくれ...。」
今まで自身に満ち溢れていたと言うのに、こんなに弱った姿を見せられては放っておくなんてできない。ましてや涙を見せられては。今は、玲央を落ち着かせる事が一番だ。
「レオ。オレはどこにも行かないよ。だから、泣かないで?」
「え?あ...。僕はなんで泣いて...」
「無自覚だったのか。それじゃあ、こうしよう。お前がオレをいらないと言うまで、お前のそばにいてやる。それなら安心できるだろう?」
夜斗は微笑みを浮かべ玲央を抱きしめると、玲央は強く強く抱きしめ返してきたのだった。




