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野良猫、御曹司に拾われる  作者: 朱音小夏


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野良猫、出会う

「やっと見つけた...僕だけの夜。」



まるで猫のようにあっちの男に行っては、次はこっちの男。そうやって男は、"天ヶ瀬 夜斗"は生きてきた。今日も今日とて行きつけの酒場へと行き、男どもを見定める。そうしていると、一人の男が近づいてきた。


「君、綺麗な顔をしているね。良かったらご馳走させてくれないかい?」


そしてコッソリと耳打ちしてきた。「いい夢見させてあげるよ?」と。夜斗は「今夜の宿確保」と軽い気持ちで男の誘いに乗った。そして手渡された酒を一気に煽ると、男を誘うかのように腕へと絡みつく。しかし次の瞬間、夜斗の視界はぐにゃりと歪む。男はニヤリと笑う。そして夜斗を路地裏へと連れ出すと、仲間の男達が姿をみせる。


「兄貴ィ、今日は珍しく男なんスね。」

「あぁ。下手な女どもより綺麗だからな。その顔が歪む瞬間が...たまらないよっ!!」


男はそう言うと夜斗の顔を思い切り殴りつけた。口の中は血の味で充満している。生憎ケンカはからっきしなのでされるがままだ。これのどこが"いい夢"なのだろうか。夜斗が抵抗しないのをいい事のように男達は夜斗の服を脱がせようとする。「ダメだ。今日はハズレか。」と諦めようとしたその時だった。覆いかぶさっていた男達が吹き飛ばされたのだ。


「テメェ!何しやがる!」

「それは此方のセリフだよ。せっかく見つけたと言うのに...」


"見つけた"?突如神のように現れた男に疑問を持ちながら目をやると、男は高そうな綺麗なスリーピーススーツに身を包んでいた。「金持ちそうだな。」そんな感想を抱いているうちに男は暴漢達を一掃すると、夜斗に手を差し伸べてきた。


「大丈夫かい?」

「無事か無事じゃないかと言われれば、後者かな。口の中が血の味でいっぱいだ。」

「...君、家は?送っていくよ。」


そう言う男の言葉に、夜斗は「待ってました!」と言わんばかりに男に撓垂れかかる。


「オレ、家が無いんだ。毎日男の家を転々としているんだ。」

「...そうか。それなら一つ、提案をさせてはくれないかい?」

「?」


男は夜斗を引き寄せこう言った。


「僕が君の飼い主になろう。だから"僕だけの猫チャン"になってはくれないかい?」


男の背後で月が笑ったような気がした。

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