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「よ、しっと」
アタシはホロカレンダーのカウンターを1年後のクリスマスにセットし直した。
「この日に、また帰ってくるからね」
正直、休みが取れるかはわからない。
働いて、働いて、働いて。
本当はサブローと、もっと過ごしたいし、結婚とかもしたい。
でも、アタシじゃなきゃ出来ない仕事もあると思いたい。
それに……人が足りないっっ!!!
終わりのないこの辛くも少しは幸せな日々がいつまで続くのか、わからなくなる時がある。だけど、願うだけなら。
「ぜったい、来年は一緒にクリスマスしよう」
それが、口約束になったとしても。
アタシの決意に、ハジメもサブローも嬉しそうに笑ってくれた。
「来年はさ、仁花の彼氏も連れて来てよ。IOPに行くんだから、出会いあるって!」
「はぁ!?……ば、ばかじゃないの!?ま、まぁ!?このアタシの可愛さを持ってすれば、彼氏の一人や二人っ!?」
「……本当に、いつ結婚してもいいんだから」
ウィスキーの水割りを飲み始めたハジメが、据わった目で語り始める。
「ダメな兄ちゃんだったけどさ、高校卒業して、……干支が一周したのか……。今はさ、仁花にもハジメにも、好きなもの食べさせてやるくらいは出来るよ。うん。……辛い思いさせた分さ、好きに生きて幸せになれ」
「は、はぁ?……別に辛くなかったし!」
兄弟三人で生きてきた。確かに、お腹が一杯にならない日もたくさんあった。必死だった。けど……
「俺もっ、別に辛くなかったし!今までありがと、仁花。……ハジメ兄もっ!」
サブローは、アタシにターコイズのネックレスと、ハジメ兄に同じ色の栞を差し出した。
「まぁ向こうに行っても暇なんかないかもしれないけどさ」
◯◯◯おまけトーク◯◯◯
「トゥトゥトゥルー……トゥルトゥトゥッ」
「えっ……!?」
「トゥトゥトゥルー……トゥルトゥトゥッ」
「えっ……?何っ!?シュウジ!!!」
「トゥトゥトゥルー……トゥルトゥトゥッ」
「母!?」
「トゥトゥトゥルー……トゥルトゥトゥッ」
「えっほんと何?……近づいて……来るッ!?」
「「トゥトゥトゥルー……トゥルトゥトゥッ」」
「(あっこれアレだ)」
「「トゥトゥトゥルー……トゥルトゥトゥッ」」
「(あのゲームのヤシの木の真似してるんだ!)ていうか何!?近づいて来る!!!」
「「トゥトゥトゥルー……トゥルトゥトゥッ」」
「分かった!……分かったってば!!!」
「「トゥトゥトゥルー……トゥルトゥトゥッ」」
「楽しい我が家だよ!!(誘わないで踊りに!!!)」




