↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
AId、出現…… ——抗え、純白のノエル
PR
82/793

79

 サブローの気持ちが嬉しかった。


「ネックレスなんて……やるじゃんサブロー」


 天使がこぼした涙のような優しい水色の華奢なネックレス。

 付けてみると、ターコイズの石が胸の上でひんやり冷たくて、直ぐに暖かくなっていく。


 鏡に映ったアタシは、いつもより優しく、可愛らしく見えた。


「似合うよ、良かった。仁花にかが可愛くみえる」


「ちょっと、どういう意味!?アタシはミス第二課なのよ?知ってるでしょ!?」


「二課は女子一人だからな〜」


「むっ!どういう意味よ!?ハァ〜もう二人とも分かってないわね〜アタシの可愛さを。見てなさいよ!来年を!!!」


 もちろん、幸せは自分で決めたい。


 けれど、誰かに純粋に願ってもらう幸せって希望のひとつになると思う。



「二人が俺の二十歳を見届けてくれたように、今度は見送らせてよ」



 いい未来を。


 自分が幸せだと思う未来をみつけてほしい。


 サブローがそう言ってくれてる気がしたし、アタシもサブローに幸せな未来を見続けて欲しかった。


 ハジメとアタシは、サブローと、もうすぐはなばなれになる。


 それが心から寂しい。卒業にも、なんだか似てる気がした。アタシたちは別れを繰り返して、日々の辛さに忙殺されて、あったかい記憶はどこか彼方に消えかけて行ってしまう。


 だからこそ、一緒に過ごす時が大事で……どこか切なくなるのかもしれない。



「……そうだね。……なんか、アタシも酔ってるのかもしれない。あっは、ちょっと風に当たってくるわ!」


 アタシはすでに畳に横たわっているハジメを乗り越えて、外に出た。


 カン、カン、カン……とスチール風の階段を降りて、空を見上げる。


 エリア新宿・セクション新大久保によくあるこの木造風アパートで暮らすのも、あと一週間。


 星は見えないけど、うすグレーの空がアタシにはいつも、優しく暖かく思えた。



 ……寂しい。



 でも終わりじゃない。



「綺麗……」


 サブローのくれた水色のネックレスは、街灯の灯りを浴びて、キラキラと光った。



 また、頑張ってみよう。


 ……頑張れない日もあるかもしれないけど、思い出す。


 アタシの人生で、頑張ったこと、これからやりたいこと。



 そして来年のクリスマスには、帰って来るんだ。


 彼氏……がもしいたら、ハジメともサブローとも仲良くなってくれると思う。



 アタシは12月の空気を吸い込んだ。


 しんしんと、静かな夜。


 ……綺麗な雪が、降って来そうな気がした。








◯◯◯おまけトーク◯◯◯


あね、見て、手袋に」


「……結晶……?綺麗だね」


「冬だね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。