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サブローの気持ちが嬉しかった。
「ネックレスなんて……やるじゃんサブロー」
天使が零した涙のような優しい水色の華奢なネックレス。
付けてみると、ターコイズの石が胸の上でひんやり冷たくて、直ぐに暖かくなっていく。
鏡に映ったアタシは、いつもより優しく、可愛らしく見えた。
「似合うよ、良かった。仁花が可愛くみえる」
「ちょっと、どういう意味!?アタシはミス第二課なのよ?知ってるでしょ!?」
「二課は女子一人だからな〜」
「むっ!どういう意味よ!?ハァ〜もう二人とも分かってないわね〜アタシの可愛さを。見てなさいよ!来年を!!!」
もちろん、幸せは自分で決めたい。
けれど、誰かに純粋に願ってもらう幸せって希望のひとつになると思う。
「二人が俺の二十歳を見届けてくれたように、今度は見送らせてよ」
いい未来を。
自分が幸せだと思う未来をみつけてほしい。
サブローがそう言ってくれてる気がしたし、アタシもサブローに幸せな未来を見続けて欲しかった。
ハジメとアタシは、サブローと、もうすぐ離れ離れになる。
それが心から寂しい。卒業にも、なんだか似てる気がした。アタシたちは別れを繰り返して、日々の辛さに忙殺されて、あったかい記憶はどこか彼方に消えかけて行ってしまう。
だからこそ、一緒に過ごす時が大事で……どこか切なくなるのかもしれない。
「……そうだね。……なんか、アタシも酔ってるのかもしれない。あっは、ちょっと風に当たってくるわ!」
アタシはすでに畳に横たわっているハジメを乗り越えて、外に出た。
カン、カン、カン……とスチール風の階段を降りて、空を見上げる。
エリア新宿・セクション新大久保によくあるこの木造風アパートで暮らすのも、あと一週間。
星は見えないけど、うすグレーの空がアタシにはいつも、優しく暖かく思えた。
……寂しい。
でも終わりじゃない。
「綺麗……」
サブローのくれた水色のネックレスは、街灯の灯りを浴びて、キラキラと光った。
また、頑張ってみよう。
……頑張れない日もあるかもしれないけど、思い出す。
アタシの人生で、頑張ったこと、これからやりたいこと。
そして来年のクリスマスには、帰って来るんだ。
彼氏……がもしいたら、ハジメともサブローとも仲良くなってくれると思う。
アタシは12月の空気を吸い込んだ。
しんしんと、静かな夜。
……綺麗な雪が、降って来そうな気がした。
◯◯◯おまけトーク◯◯◯
「姉、見て、手袋に」
「……結晶……?綺麗だね」
「冬だね」




