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07
「あわわわわわわ……」
アタシは震えながらも、楓を放さないように必死だった。
でも、
「わっ!」
胸のあたりに激しい衝撃を感じた。
どこにそんな力があったのか、楓の渾身の力で、アタシはふすまに激突した。
「痛った……」
でも、アタシたちが居た場所は、大猿の拳でこなごなになっていた。
「楓!」
「実華!!!」
「嫌だ!!!!!」
アタシは泣き叫んだ。
「駄目だ!!!!」
「離して!!!!」
目の前で、楓が大猿に攫われてしまった。
アタシはシュウジの手を振りほどこうと、もがいた。
「行っちゃうじゃん!」
「生きてるから!!!」
ドシン、ドシンという大きな足音の合間に、楓の悲鳴のような鳴き声が聴こえていた。
「風下から近づこう。隙を狙うんだ」
シュウジは競技用のサイコプラズマワルサーを構えていた。
アタシたちは闇の中、大猿を追いかけた。