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「大丈夫、まだ生きてる」
植込みの隙間に身を隠し、アタシたちは大猿を見つめていた。
「楓……」
「大丈夫だよ、どっかに連れて行くみたいじゃない?」
確かに、殺すつもりならとっくにやっていると思う。
アタシは息を吐いた。
「どうするの?」
シュウジは小学生ながら、射撃の名手だった。
この間、都大会にも出て、小学生の部で優勝したのだ。
でもこんな小さな競技用の銃で……。
「……あれは、猿でしょ。爪の間を狙う」
「は!?」
鳥肌が立つ。
「……アンタ、鬼!?」
「し、しょうがないでしょ。楓が飛び降りたら、確保してね」
「わ、わかった」
弟は、きっとやる。
ピュスイッ
乾いた音が鳴って、ワルサーの銃弾が大猿に向かって飛んだ。
当たった!!!!
大きなうめき声をあげて、大猿が楓を取り零……さない!
「ダメ!あいつ逆の手でキャッチした!」
「どんどん行くよ!」
「待って!」
バタン!
黒塗りの車のドアが勢いよく開いた。
「「母!?」」
「ミカ!シュージ!!母もよくわかんないんだけど、この車に乗って!」
「はぁ?今それどころじゃないんですけど!」
「いいから!」
母の腕をほどこうとする私を尻目に、弟はすでに車に乗っているッ!?
「ちょまっ!」
車から現れたサングラスの男に、私は無理やり車に詰め込まれた。




