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怠惰でチートな異世界創造者(マジッククリエーター)  作者: 市川キキ
第2章、光と闇
47/62

47話、ヘカトンケイル

長期休暇(春休み)明けの理不尽な学力測定(テスト)の関係で投稿が遅れてしまいました。 申し訳ありません!!


お詫びと言っては些か不十分ですが、今回の話は少し多めにしました。


誤字脱字あるかもです。

あってもそこはご愛嬌w

 現在冒険者チームはヘカトンケイルがいると思われるところから数キロ離れた荒山に身を潜めていた。



 ヘカトンケイルはその体躯故に遠距離からでも視覚できる。今は休んでいるのか森の中から一歩も動かない。



 そして気になることが1つ。ヘカトンケイルの象徴ともいえる頭と腕が一本も見当たらない。遠距離から見ているからだろうか。



 そう考えたが、アルス曰く、『古文書には、休む時には頭を守る為に、腕を器用に使って防御壁(シールド)を築いている』らしい。それが定かかどうかは実際に確認しないと分からないが、それだけのために創造(クリエイト)を使うのは魔力が勿体ない気がする為止めておく。



 時刻は深夜零時。遠くの方(ニュクルスの方角)で鐘の音がする。この鐘が日が変わることを示している証だ。



 そして遂にヘカトンケイル討伐作戦が決行される。



 へカントケイルは先ほどから動いておらず、同じ位置で休憩している。



 作戦としては、冒険者約150人を10組に分けて森の中を隠密行動。へカントケイルを150人で包囲し、四方八方の全方位からの一斉攻撃を行う。そこにSランクのルカール、アルスが全力の一撃を食らわせる。遥希は『迅瞬者(ライト・ゥライズ)』の異名のせいか遊撃を任された。



 この作戦を見る限り、力任せのゴリ押しに見えなくもない。それでもそれを立案したのがルカールだったから誰一人文句を言わなかったが。



 そして出撃の合図。10組全てに組み込まれた付加術師(エンチャータ)が気配を薄くする魔法を唱える。するとその恩恵を受けた150人の冒険者の姿がみるみるうちに透明になっていき、最終的には目視できないほどに透けた。これは暗殺や隠密などに使われる無系統魔法、『姿気透過(インヴィジブル)』だ。



 目視はできないが魔力の流れは分かる為、遥希は意識を視覚から精神に集中。一人一人の魔力の流れを読み取る。特に目立った異常はなく、ここまでは順調に進んでいる。



 ルカールが怪しげな笑みを浮かべていること以外は。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 10に分かれた班の中にはそれぞれ、近距離兵(剣士、武道家)、遠距離兵(魔法師、弓箭)、補助兵(療治、付加術師)が適当な数、振り分けられている。これは戦闘における基本で、あらゆる分野に特化、優越した兵を組み込むことで、様々な観点から解析し、臨機応変に対応することができる、という風にするためだ。そしてその班の中では前から、前衛、後衛、サポート兼指令という役割がある、単独で自分勝手な強豪チームは連携が取れている弱小チームに劣るのがこの世界でのセオリーだ。



 遥希はこの(チーム)の中の役職を、魔力の流れで判断することができ、さらにはその人物を特定することができるという荒業を習得している。そのため、現在のヘカトンケイルの状態も分かるのだが……。



「かなりよくないな」

「ん? 何がだい?」

「何がぁ?」



 Sランク2人は、遥希がポツリとつぶやいたその言葉を聞き逃さなかった。顔に疑問の意を表している。



 遥希はそのことを理解し、2人にヘカトンケイルについて話をする。



「ヘカトンケイルの魔力が活発になってきている。もしかしたら隠密が気付かれている可能性がある」

「それって……」

「あぁ、こちらの動きを把握しているのかもしれない」

「「…………」」



 2人は厳しい現状に顔を顰めた。アルスはこの局面に対して、真剣に悩んでいるのがその険しい顔から読み取れる。



 一方のルカールも、アルスと同じく眉を寄せて考え込んでいる――――ように見えた。気のせいだろうか。



 遥希にはそれが嘘くさく感じて止まない。具体的にと言われるととても曖昧なのだが、何か裏で動かしているような、何かを隠しているような気がするのだ。



 何かを隠しているような気がする。だがそれがなんなのか分からない。



 遥希の思考は結局、何か、という明確でない不確かなものに囚われたまま、頭の中をふらふらと低回した挙句に、謎、という答えに行きついた。



 何が謎なのかすら分からなくなったその時に、自身が意味のない所に思考を凝らしている、と今更ながらに気付き思考を転換する。



 結果分からなかった、と結論付けた遥希は、今度はヘカトンケイルに目を向ける。



 その瞬間、ヘカトンケイルは少し動いた気がした。些細な出来事かもしれないが、それが遥希の想像していたある考えの答えとなった。



「やはり、か」



 遥希は一人そう呟くと、瞳を魔力で多い視力を強化、同時に魔力の流れを確認する。



 先ほど確認した時と比べ、ヘカトンケイルの魔力が増幅している。尚且つ、体内で停滞していた魔力の流れが明らかに早まっている。



 それらが意味すること、遥希がもとより考えていたこと、それはつまり――――



「ヘカトンケイルが起きる」



 遥希がそれを言い放った瞬間に、ヘカトンケイルは言葉通りになった。



 ただ目を覚ましたのではない。起きたのだ。厳密に言うと起き上がった。



 その体長は休んでいた時とは比べ物にならないくらいに高く、月の光が映し出すシルエット、森に映ったヘカトンケイルの姿はその性質通り、百の手と五十の頭を持っていた。




 ヘカトンケイルは冒険者側の隠密行動が分かっていたかのように、立ったその直後に森の一部を投げた。



 それは言葉通りだ。百の手とトップクラスの怪力を使い、森の木々をプリンを掬うかのように根っこから持ち上げ、器用に分解、周囲に叩きつける。



 投げられた土や岩、木々は、ヘカトンケイルと比べると砂のように小さい。しかしそれは冒険者からしたら家ほどの大きさの隕石が降ってきたように見える。



 実際、その場にいた冒険者はそう思ったに違いない。ヘカトンケイルがその大きさのものをフルスイングで投げたら、隕石と然程変わらないからだ。



「「「……………」」」



 その場にいた四人、そのうちルカールを抜いた三人は唖然としていた。この場の指揮をしているブラドマスは、言葉すら出てこない、といった様子だ。



「……はっ……!! ひ、退けええぇぇぇぇぇぇぇ!!!」



 さすがはギルマスと言ったところだろう。唖然としていたがすぐに正気を取り戻し、魔力で巨大な掌を生成。戦域全体に響き渡るような大きな音で三回手を鳴らした。これは事前に決めておいた撤退の合図だ。



「……流石にこれは厳しいかもしれないね」

「確かにそうかもしれないな」



 アルスの現実的な一言に、遥希も相槌、もとい同意するしかない。このレベルの相手と戦うのはまさに死闘になりそうだ。



 しかし、遥希が同意したのはそれだけではない。



 アルスの巷での呼び名は『地爆王子(ランドスライド)』だ。つまり土系統の魔法を得意としている。



 その中でもアルスは直接地面に干渉する『地脈系』を得意としていた。地面に直接干渉することで土や石によって相手の行動を制限、空中へと逃がし、その行動不能のタイミングで無数の攻撃を仕掛ける、というトリッキーで回避がしにくい戦法をよく使っていたのだ。



 しかしヘカトンケイルは地面ごと抉って武器にしている。つまり地面に魔力を流して攻撃することは難しいのだ。



 そして奇襲という作戦が消えた今、ヘカトンケイルを倒せるのはルカールとブラドマス、そして遥希の三人。



 この三人で協力してヘカトンケイルを倒さなければいけない。しかし、遥希はルカールには戦闘に参加しないでほしいと考えていた。



 理由は、先ほどから何か企んでいる素振りを見せているからに他ならない。アルスやブラドマスは気づいていないようだが、遥希の考えは今も信憑性を増している最中だ。



 何故なら、どこにかは不明だが、ルカールが魔力で何かと信号をやり取りしているからだ。この信号は遥希も使ったことがある。それは電波と同じように媒体を介さず相手の魔力に干渉し、その魔力量と

それが発する波で言葉を届ける『魔念会話(テレパシー)』と言われる技術で、遥希は会話をするのではなくその原理を利用したレーダーを使っていたのだが。目的は違うが原理は全く同じであるために使いやすいために遥希も使用していた。



 つまりルカールはこの非常事態で誰かと通信できるだけの余裕と、この場では死なないという命の保証がなされていることを意味している。



 結果、遥希はルカールを参加させたくない。



 そうなるとブラドマスと共闘するという形になるが、それも避けたい。理由は単純で、逃げてきた者の統括を行ってほしいからだ。それはギルマスであるブラドマスにしかできない仕事で、それを任せるに値する人間だと、遥希はそう思っている。



 だからここは、



「俺一人で行く」



 遥希はそれだけを言うと、ほかの冒険者の話を一切聞かずにその場から消えた。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「よう、ヘカトンケイル。会いに来たぜ」



 遥希は、ヘカトンケイルに近づくなり、いきなりそう話しかけた。



 その場に人がいたら誰しもが独り言に聞こえるだろう。だが違った。



《貴様、一人か?》



 それは声にだし、耳で聞いたのとは違う、直接脳に響くような声だ。



 少しノイズのかかった、しかし鮮明に聞こえるその声は、初老の御仁のようなくぐもった低い声だった。



「あぁ、1人だが、何か問題でも?」



 遥希は、当たり前だろ何言ってんの? とでも言いたげな少し怒気の混ざった声を発した。



 しかしそれは純粋な怒りではなく、少しの挑発の意味があった。が、ヘカトンケイルは然程気にしていないようだ。というかむしろ笑っている。



《ク……クハハハハハハ!! 愉快な人間だ!! まさか我を前にしても怯えるどころか減らず口を叩くとは……》

「そんなに面白いか?」

《当たり前だ。我と対峙しようと思う輩はほとんどいなくなった今、このようにして人間と会話するなど思ってもみなかったぞ》

「そうか、ならよかった」



 遥希はそれで、となるべく話を区切らないように続けて話す。



「ここにいられると少し迷惑なんだ。帰ってくれないか?」

《随分と端的にものをいうのだな》

「仕方ない。それが俺の領分だ。っていうか、なぜお前のような奴がこんな何もない辺境の地に来た?」

《無論、退屈していたからだ》



 ヘカトンケイルは何かを思い出すような口調でそう言った。しかし、この世界に来て半年と経っていない遥希は何のことだか分からない。



 それは置いておいて、遥希はヘカトンケイルをこの場から退かすことを考え始める。



 しかし、ここに本人がいるためわざわざ考えなくていいや、と思考を放棄した。



「兎に角、どうやったら退いてくれるんだ?」

《うむ、貴様はなかなかの強者と見える。なら》

「なら?」

《我と戦い、見事勝利して見せよ。貴様の勝利条件は、我に力を示すことだ》



 その曖昧な勝利条件に、遥希は待ったをかけようとした。が、実際のところ、自分の今の本気というものを知らない遥希は、この機を自分の全力を出すチャンスと見た。



「よし、その勝負受けた」

《ふっ。そう来ると思ったわ。では、尋常に》

「《――――――勝負!!》」

テストのこと、投稿が滞ってしまうことを活動報告に書かなかったこと、深く反省しております。

今後はこのようなことが起きないよう努めますので、これからも「怠惰でチートな異世界創造者」をよろしくお願いします。

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