32話、日常
これからの展開を考えながら書いていたら、何故かコントのようになってしまいました……(笑)
もしかしたら誤字脱字があるかもしれません。
宴の翌日、遥希は朝っぱらから王室に向かうよう言われていた。
よくは分からないがガヴァロンが真剣な顔をして言うものだから断るわけにもいかない。
初めて来たときやその次に来たとき城内を見て回るようなことをしなかったが、今観察してみると木の香りはするわ、花の香りはするわで森の中にいるのかと勘違いしてしまうほど自然の香りで溢れていた。
実際、この城に限らずこの国すべての建物は木造でできており、獣人種がいかに自然を大切にしているかがわかる。
と言ってもこの城は特別で、何でも大霊樹と呼ばれている大木をくり抜いたとか。
その大霊樹の高さは国全体を覆ってしまうほどあり、日本でよく目にする「東京ドーム何個分」というのに当て嵌めると1万個分になる。高さは富士山ほどあり、地球じゃ考えられないほど巨大なのだ。
そして今、遥希はその巨大すぎる大霊樹の中を歩いているわけなのだが、
「……どこだここ」
完全に迷子になっていた。
高校生にもなって迷子とは些か問題があるが、遥希の頭の中には「この城が広すぎるから」とか、「案内図くらい提示しておけよ」とか、責任転嫁し始めているのは言うまでもない。
「仕方ないか……。《創造》に頼るか」
正直、昨日の今日でスキルを使うのは気が引けたが、王室に向かわねばならないため仕方ないと判断した。
「二文字解放、探索」
遥希の手の中に円のレーダーが出現する。そのレーダーには地図と青いマークがが点々と健在している。
これは遥希がイメージした通りに創られており、一番理解しやすいような形になっている。
レーダーを頼りに、遥希は早速王室に向かうのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そのころ王室では、遥希の到着を今か今かと待ちわびているアウリール、ガヴァロン、キルルがそわそわしていた。
「ハルキ殿はまだ来ないのか?」
「先ほど専属メイド確認したがに部屋はとっくに出ているとのことだ」
「それってつまり……」
3人の頭の中に嫌な考えが過った。
いや、そんなはずはないと心になかっで思っているのものの、完全には捨てきれない不吉な予感だ。
「は、ハルキ殿に限ってそんなはずは……」
「そう……だよな。だってあのハルキだぞ? なぁ?」
「私もそうだと思います……。きっと何か理由があって……」
3人は不吉な予感はただの考えすぎだと言い聞かせ、意味もなく3人で笑い合っている。
すると部屋をノックする音がした。やっと来たか、とそう思ったのだが、予想は大きく裏切られ毅然とした態度でメイド長が入ってきた。
「失礼します」
「「「……はぁ………」」」
「いきなり溜息ですか。随分と失礼ですねぇ……」
メイド長は3人のあからさまな落胆ぶりを見て額に青筋を作る。
「なんだメイラか。はぁ……」
「一瞬でも喜んだ私が馬鹿だった……」
「…………」
ガヴァロンとアウリールは隠すつもりがないのか、メイド長レイラの目の前で心の声を吐露し、キルルは声に出さなかったものの顔にしっかりと残念の文字を浮かべていた。
レイラはそんな三人の様子を見て、満面の笑みを浮かべた。
「あなた方、あとでメイド長室にいらしてくださいね?」
「「「あ……」」」
「っていうか来なさい。当然あなた方に拒否権はありません」
「「「はい…………」」」
この中での立場はガヴァロン>キルル>アウリール>レイラのはず。だがレイラはガヴァロンとキルルの教育係をしていた言わば育て親であり、アウリールとは同期の級友でもあり、レイラの怖さをよく知っている面子なのだ。
メイド長は代々、王族の教育係になることが義務付けられている。そしてこの教育がなかなか厳しいのだ。それ故にガヴァロンとキルルはレイラには逆らえない。
アウリールはレイラとともに王城に仕える級友なのだが、レイラの怖さを何年も前から知っている。故に、怒らせたら手が付けられないことも知っているために下手に逆らえないのだ。
「まぁ、その話は置いておいてハルキ様のことでお話したいことがあります」
「ん? なんだ?」
「はい。朝、ハルキ様を目撃したというメイドがいるのですが、話によると王室ではなく何故か倉庫の方に向かわれたようです」
「倉庫? それって王室に向かうどころか真逆の方向ではありませんか?」
キルルの一言により3人は確信した、もしかしたらもしかしなくても……。
と、噂をすればとはよく言ったもので、丁度遥希が到着した。
「遅くなって悪いな」
「構わんが、何をしていたのだ?」
「あぁ、ちょっと迷ってた。この城って結構広いんだな」
予想が見事に的中した。まさかとは思ったが、遥希にこんな弱点があっるとは予想外だった。
「それで話っていうのは……。ん? メイドか?」
「はい。メイド長をしております。レイラ・ウィナルと申します。以後お見知りおきを」
「あぁ、メイド長だったのか。俺の名前は」
「はい、ハルキ・シンザキ様。お噂は予予、何でもキルル様をお救いになられ、その心を鷲掴みにしたとか……」
「れ、レレレイラさん!! い、いきなり何を言っているんですか!?」
鷲掴み? 心を? レイラの自己紹介中なのになぜそんな話を?
レイラの自己紹介をしている途中なのに、なぜキルルが顔を赤くするのか、遥希にはまったくもって分からなかった。
「そんなことは置いといて、俺を呼んだ理由を……」
「そんなことってなんですか!? それどういう意味ですか!?」
「え? なに怒ってるんだ?」
「お前は一生分からなくていい。キルルももう諦めろ」
なんかとてつもなく馬鹿にされた気分なんだが。キルルも涙目になって睨んでくるし……。っておいガヴァロン、なんでこっち見ながら溜息ついてんだ。それにしてもほかの奴らも何ニヤニヤしてるんだよ。気持ち悪いわ。
遥希のその疑問に答える者はいなかったが、馬鹿にされていることだけはよくわかった。不遜も甚だしいし、腑に落ちないが、呼び出されたことに変わりない。
「話を切り替えるとしよう。レイラ」
「わかっております。では失礼いたします」
レイラが退出するのを確認してから、話し始める。
「単刀直入に聞く。ハルキシンザキ殿、おぬし何者だ?」
希望や指摘などありましたら、コメントしてください。
時間が会ったら返信させていただきます。




