33話、世界の違い
活動報告を書きました!
とはいっても初めて書いたものですからこれでいいのかと悩みましたが……
誤字脱字あるかもです。
「ん? 何者って、俺は人間だが?」
「いや、そういうことを言っているのではなく……」
「そうだ。ヴァロンはそういうことを言っているのではない」
遥希には何が言いたいのかわからなかった。自分は中身も外見も人間だし、おかしなところはないはずだ。この世界の人間とは違う、誣いて言うなら異世界人ということだけだろう。
「あ、そういうことか」
「何か思い当たる節があったのか?」
「あぁ、まぁな。っていうか、アウリールは黙っていたのか」
「ハルキが秘密にしろと言ったんだろう」
「あー、そんなこと言ったかもしれないな」
このやり取りから、アウリールは遥希の正体を知っている、という考えに行きつかなかった者はいないだろう。
だからというわけでもないが、自然と視線がアウリールに向いている者も何人かいた。
「それでハルキ殿、教えてはくれぬか?」
「あぁ、俺は異世界人だ」
「「「「「「………は?」」」」」」
「いや、だから俺は異世界人だと……」
「そ、そういういことではなく…………本当なのですか?」
「そんなくだらない嘘なんかついてどうするんだよ」
ファルドは眼鏡がずれ、口を開けたまま固まっている。驚いた拍子に眼鏡がずれるというのは本当だったんだ、と遥希は心の中で呟いた。
「証拠と言ってはなんだが、俺のいた世界、地球には魔法なんて概念はない。代わりに科学が進歩している」
その言葉にアウリール以外の者はさらに驚いた。そこにいたものの数名は腰を抜かすという事態に陥った。
「そんなに驚くことか?」
「あ、当たり前だ! 魔法がない世界なんてあるのかよ!」
「それを言うなら俺だって最初思ったぞ。魔法が本当に実在するなんてってな」
「本当にというと、魔法に近いモノはあったのですか?」
「いや、ない。そもそも俺の世界で魔法なんてゲームとか小説とかの物語の中でしかなかったからな。いわゆるファンタジーってやつだ」
驚きに顔を染めている者は、『まさか』とか『馬鹿な』とかと言っているようだった。
その中でもファルドや白衣に身を包んだ研究者みたいな者は、それ以上に驚いていたようだが。
「今、ハルキ・シンザキ様の話の中でカガク? という言葉が聞き取れたのですが、それはどういったものなのです?」
「それを説明すると長くなるんだが……」
「それでも構いません! ご教授ください!」
ファルドがここまで声を張り上げるのは珍しい。そこまで科学について興味があるのだろう。
遥希はガヴァロンに助けを求まるが、首を左右に振った。諦めろということなのだろう。
遥希が悩んでいると、アウリールやキルル、カリウドなどの者も話を聞きたいと言ってきた。
遥希はもう逃げ場はないと観念して、憂鬱になりながらも口を動かす。
いつの間にか、ファルドや研究者らしき人物はメモ帳を持っていた。何という研究馬鹿なのだろうと遥希は嘆息する。
「科学というのは、観察や実験などの経験的手続きによって実証された法則的、体系的知識のことだ。同時に、個別の専門分野に分かれた学問の総称でもある。典型としては物理、化学、生物学などの自然科学で、そのほかにも経済学、法学などの社会科学、心理学、言語学などの人間科学もあると、まあこんなところだ」
「ほう、科学という言葉はそれに通じた様々な学問を纏めた言葉であると……。では、この世界でもそれは通用するのですか?」
「人間科学は分からない。この世界と地球で骨格とか臓器とかの情報が違うかも知れない。でもまぁ、科学自体は通用すると言っていいだろうな」
「この世界で解明されていないことが地球で解明されている、ということはありますか?」
「この世界の住人は魔力という概念があって、大体はそれに頼っているな? 魔力でも解明できなかったことは科学で立証されていると思う」
何やら講話みたいになってしまったがそれは置いておく。人にものを教えるというのはなかなかに楽しいものだと感じる今日この頃。
「1つ例を出そう。アウリールから聞いた話では、この世界は上空に行けばいくほど息苦しくなり、漂っている魔力も減少していくらしいな」
「あぁ。最近だがそれは神族の力が働いていると研究者の間で言われている。だが、それはもう解明されていると思うのだが?」
「まぁ、この世界の奴らがそういうならそうなんだろう。だが、魔力がない地球でも上空に行けば息苦しく感じるぞ」
「そう、なのか?」
「あぁ、地球ではその現象についてとっくに解明されている。それは、『空気』という空中に漂っているものが原因だ」
「空気、とは?」
「空気っていうのは、地球を包んでいる無色透明の気体のことだ。地上から高度80キロメートルまでの水蒸気を除いた構成はほぼ一定で、酸素、窒素、アルゴン、二酸化炭素などを含んでいる。
1つ問題だ。お前らは息をしているな? それは何を取り込んでいる? 何を吸っている?」
この世界の住人は迷わず魔力と答えるだろうが、地球では勿論空気中の酸素を取り込んでいる。地球でも酸素だけを吸うとただの害でしかないのだが、そんな細かいことを説明するのは面倒くさい。
と、ここで以外にもキルルが答えを出す。
「もしかしてハルキ様が先ほど言った『空気』を吸い込んでいるのではないでしょうか?」
「ん? 正解だが、おかしいな。俺はてっきり魔力と答えると思っていたんだが」
まさかの正解を言われて遥希は少し戸惑う。
「いえ、魔力は人に力を与えるだけでその他には干渉しないはずです。そうですよねファルドさん?」
「はい。これは昔の偉人が残した説ですが、この世界の5種族は魔力がなくなっても生存できると言われています。なので我々が生きるためには魔力はあってもなくてもいいのです。ただ、魔力がないと魔法を使えませんし、困ることは確実ですが」
これは遥希にとって意外な説だった。まさか、この世界の住人が魔力なしで生きていられるとは思わなかったからだ。もしかしたら外見が違うだけで、中身は地球と同じなのかもしれない。
「そうか、まぁキルルの答えは正解だ。地球では空気中にある酸素という気体を吸って1つのエネルギーにしている。そして上空に行けばいくほど空気中の酸素濃度は少なくなり、息苦しさを感じる。これは俺の仮説だが、この世界の魔力は酸素に結合しているのかもな。だから酸素と同じような現象が起きるんだろう」
「「「「「「…………」」」」」」」
「ん? どうした?」
遥希の説明が終わると同時に、なぜか辺りはしんと静まり返ってしまう。何か悪いことでも言ったのだろうか、そんな考えが頭の中を駆け巡る。が、次の瞬間
「これは世紀の大発見だぁぁぁぁぁぁああ!!!!」
「凄い! 凄すぎる!! こんな説があるだなんて!!」
「神だ……。ハルキ様は我ら研究者の神だ!!!」
など、急に大声を張り上げて狂喜乱舞する。これにはさすがの遥希も驚いた。
「ハルキ………。天才だな! 見直した!」
「凄い……。こんなに頭がいいなんて知りませんでした!」
「見かけによらず頭がいいのだなハルキ殿は!!」
「あんたら、遠回しに俺を馬鹿にしてんのか……」
こうして遥希の素性が明らかになった。
遥希の噂は光の速さで国内を駆け巡った。そして遥希は『天才科学者』や、『神の頭脳』など好き勝手に言われ、本人は心底憂鬱な気分になるのだった。
感想や意見、その他諸々のコメントお待ちしております!
内容はどうであれ、できる限り返信させていただきます!




