第7話 ロン、竜、龍
黒龍の精神世界は地獄絵図のような場所であった。
暗く、赤い水が流れ、安定していない。
長い間怒り続けて原因も忘れている。ただの混沌の世界だ。
「誰だ?」
低く唸るような声がした。
「兄上!」
セイリュウは叫んだ。
「誰だ?なぜ我を兄と呼ぶ?」
姿を表したのはドでかい蛇である。
「兄う…」
言いかけた所に蛇は尻尾を鞭のようにしならせセイリュウを攻撃してきた。
すんでの所で避けたセイリュウはこれ以上話しても無駄だと悟った。
「ロン、我とおぬしが一つになって兄上の中に入る。精神を強く持て。そして炎を想像すれのじゃ。兄上の黒き部分を燃やす炎を。」
ロンは頷いた。
ロンとセイリュウは勢いよく蛇の中にとびかかり蛇の中に入り、そして自分を燃やし始めた。
「ぎゃぁあああ…」
耳をつんざく蛇の声がする。時々意識が遠ざかるがセイリュウが
「ロン!」
と呼びとめてくれる。
蛇はのたうち回り、黒い空間は歪んでいく。
…黒い空間は白い光に満ちた空間に変わっていた。ついに黒龍の憎しみの黒はセイリュウとロンに燃やし尽されたのだ。
黒龍は白くなり白龍と生まれ変わった。
セイリュウとロンはなんとか黒龍に取り込まれずに済んだ。
「セイリュウ…」
白龍は優しい声でよびかけた。
「すまない。我のせいで長い間苦しめてしまったようだ…。」
セイリュウは首を横に振った。
謝るならロンに。とロンを見て言った。
ロンの人間だった体はまうない。
ロンは言った。
「セイリュウ、これからも一緒だ。俺は赤龍となって暮らすさ。」
白龍、青龍、赤龍の三匹の龍はじゃれるようにして天高くかけ上がり見えなくなった。