天狗の怪 その十三
人々は、細い路地の角にある里の広場の端の方に何十人と集まっていた。思い思いの幾分か整った服に身をつつみ、談笑し合っていた。その中心には、光がきれいに反射する四角く、長く伸びた石の塔が立っていた。人が入れ代わり立ち代わり、焼香を上げていたようだ。私も断ってから塔の前で、子どもたちの無念を弔った。
しばし、人混みの後ろの方で、人々を眺めていた。静かに涙を流す者や、急に崩れる人もいた。その悲しみが、広場全体を包んでいた。その後ろでは小さい子から、就学児まで、様々な子らが、ふざけ回ったり、静かに見つめてたりしていた。しばらくして後ろから首長がやってきたので、お疲れさまです!と大きく返事をした。その太った、中流風のチェックのシャツに身を包んだ首長が口火を切る。
えーみなさん。この度は、誠にお悔やみ申し上げます。今ここで葬儀を行うわけでございますが、まだまだ事件も解決しておりません。ただ、一旦ここで黙祷をしましょう。一同お願いします。
私は目を閉じた。この急な静寂に子どもたちの声も止んだ。ただただ暗闇のなかで、心のなかで手を合わせた。
えーみなさん、ご苦労さまでございます。えー、今日は、一人中央政府から派遣された調査局所属の出身ではありますが、ご紹介いたします。
私にバトンが渡った。まだ、若い見た目のおえらいさんがどういう話をするの皆が注目した。
あ、私は、中央局、あ、中央政府の調査局から派遣された、焼里睦と申します。
初っ端から噛んでしまったことに、一瞬空へ視線を向けたが、青臭く、話慣れしていない口調で続けた。
えー、ま、まずは、この度はお悔やみ申し上げます。みなさんのなかに知っている人はいるでしょうが、今回の事件の犯人はまだ捕まっておりません。
どういうこと!?
一人の年配の女性が急に叫ぶ。そこで、とっさに、首長がたしなめたので一旦場は落ち着いた。
えーですから、この前私が捕まえた人は、犯人でないことがわかったわけでございます。なので、私は全力で、調査に取り組むので、皆さんも子どもたちのことを、どうかよろしくお願いします。
急に攻め立てられ、気が動転してしまったので、適当なことをしゃべって済ませた。人々は口々に、私に対して怪訝な顔を向けたり、信用していないような口ぶりをひそひそと話しているのが耳に入った。そこに対しては冷静な気持ちでいられた。十分に働いているからだ。そこに割ってはいるように、首長は述べた。
えー、では次に、遺族代表から、どうぞ。
ひとり黒っぽいシャツに身を包んだ、若い女性が真剣なまなざしで涙を浮かべ、私の隣に立ち語る。
私の子どもは、茂みのなかで、無残に捨てられてました。そんなことする人が、普通に、暮らしてるのが、うぅ。
声を上ずりながら何とか声を絞り出していたが、耐えきれず、崩れ落ちた。首長が慌てて、肩を抱え近くのベンチに座らせ、改めて司会をした。
えー、では、一刻も早く、この憎い犯人を捕まえるべく我々も努力するので、よろしくお願いします。
この話を持って言葉は以上となったが、首長は、僕と遺族代表数名が、敷地内にある小さくて薄汚れたガラスサッシが入口の集会場へ案内された。




