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浮気発覚?!

 アビスは正式に聖騎士になって聖騎士見習いの居住や訓練場のある北の棟から中央棟に行っちゃった。

 アビスは私に会いに北の棟にぜ~んぜんッ来ないけど、それは私に「早く正式に聖騎士なれ」ってことで、会いたいのを我慢して私を応援してくれているからだよね。

 私はアビスの期待に応えて早く正式に聖騎士にならなきゃいけない。


「ガンバルぞーッ!」


 私は中央棟で私に会えなくて寂しい思いをしているアビスのためにスゴーク頑張ったから、アビスが正式に聖騎士なって三カ月後に見習いを卒業して半徒(はんと)(せい)騎士(きし)になれた。


 私をバカにしていた貴族の子達は途中で見習い聖騎士を辞めていった。

 突然、馬の手綱が切れたり、街中でガラの悪い連中に襲われたりするなんて運が悪いよね~♪


(ンフフ~、やっぱり日頃の行いって大事だよね)


 親から甘やかされているから苦労って言葉を知らない世間知らずな連中ばっかりだった。

 私の部族が滅んでも王都には至るところに元遊牧民の店があって、部族が違っても同じ遊牧民っていう絆があるから家族がいない私が困っている時は必ず誰かが助けてくれるって知らないんだろうね。

 仮に知っても「世の中のお勉強ができた」って感謝して欲しいよ、だって「お貴族様」なんだから上手に人を使って自分の思い通りになるようにするくらいできないとダメでしょ。


 正式に聖騎士なると7段階ある神殿の階級にやっと入るんだよ。

 騎士の最高は2段の騎士団長になるんだ。


 神殿の階級は難しいからバニー先生(センセー)が説明するよー。


 この国の神殿は村の周りをぐるっと一周、お散歩気分で半時間くらいで歩けるような小さな村でも最低1つ、大きな街になると百以上あるから神官長の地位がある人は大勢いるんだ。

 各領地の神殿の中心は領都にあるから代表になる神官長もいるけど、国は8区画に別れているから代表神官長達の上にいるのが各地区の主要な領都を任されている統括神官長なるよ。

 聖女様は神様の代わりの特別な存在だから神殿の階級に収まらない、だから神殿の階級の頂点は大神官様になるんだけど統括神官長は3段なんだ。

 大神官様の下が騎士団長なのはスゴイよね。

 理由はちゃんとあるよ、聖騎士に権力がないと相手を捕縛して処罰できないから~。


 ……私は今日から7段だから先はまだ長いね。



「今日から8班の相談窓口に配属されたバニー・ハートで~す」

「おッ、可愛い子。君も式典向きだ」

「バカっぽい髪形を結い直せば……ですが」


 8班「総務」を仕切っている神官参事の班長はカンジいいけど、副班長な神官主事の女はカンジ悪いね。


「ヨロシクお願いしま~す」


 この日からおシゴトしたけど……何なのッ、ココ!苦情とヘンテコリンな相談ばっかり、私がとってもカワイイからって相談に来た筈なのに口説いてこないでよね。



「バニーちゃんが一緒に食事に行ってくれたら困ってたことなんて忘れちゃうのにな~」

「婚約者のいる女の子を口説いちゃいけませんよ、困り事は何です?」

「婚約者がいるのかよ、じゃあな」


 目の前のブサイクが席を立とうとしたので手首を掴んで引き止めた。


「そうなんですよ~、婚約者がいるんです。なのにカレと一緒の班じゃなくてこんな所に来させられたんですよ、神殿もヤボな人事しますよね」

「そんなの……俺に言われても」

「私ってこんなにカワイイだけじゃなくてアト族の姫様だったから強いんですよ~、普通なら顔選抜な2班で要人警護と警備するか、囮捜査がある5班ですよね」

「で、でも明るくて可愛いからバニーちゃんは親しみやすさを評価されて相談窓口なんじゃないの?」

「エーッ」

「それにさ、ヒマそうだし、カレに会いに行けるんじゃないの?」

「それは……そうかも!じゃあ、私、行くからッ」


 そうだ、そうだと思いながら席を立ってアビスの所に行こうとしたら副班長に片方の髪を掴まれて止められた。


「「ワタシ、行くからッ」じゃありません、業務中ですよ」


 ムー……これだからカンジ悪くて婚約者のいなさそうな女は。


(イジワルッ、大ッキライ)




 色々な人にアビスのことを聞いたらアビスは5班に配属されていた。

 5班は外部調査だけど派遣もあるからアビスと会えないのもそういうことかと思いながらも寂しい気持ちはどうしようもない。


(婚約者だし、会いに行ってもいい……よね)


 イジワル副班長の目を盗んで抜け出して5班の階に行くと、アビスがピンク色の髪の女を抱きしめていた。


(浮気してるーッ!)

「すいません、ありがとうございます」

「いいえ聖女様、そのまま転ばなくて何よりです」

「転びそうなところを助けてもらった御礼にコレどうぞ」

「これは?」

「自分のオヤツにと思って持ってた手作りのカップケーキです。あ、手作りはイヤ「そんな筈ありませんッ!」かな?」


 二人が目線を合わせてから「思わず」といったカンジで笑い合った。


「じゃあ、もらってください」

「ありがとうございます」


 二人が別れたのでアビスに近寄ろうとしたら誰かに片方の髪を引っ張られた。


「もうッ!」


 相手を睨むとイジワル副班長だった。


「ハート、業務を放棄して何をしているんですか?」

「ゴ、ゴメンナサ~イ」


 またアビスと離されたけど、相手は恋敵にもならない聖女だったから浮気でもなかったし、気を取り直して仕事に戻ってあげたよ。






°︵‿︵࿔.♡.࿔︵‿︵°


 アビたんは半徒聖騎士から聖騎士になった。

 何年経っても半徒聖騎士のままの人だっているのに、たった一年でスゴイ!流石、アビたん!

 でも、それだけ無理してるってことだから心配でもある。

 聖騎士になったからアビたんの部屋も近くなったし、二人部屋だけど同部屋の人は婚約者の8班の副班長シンディさん(クールビューティーで信頼できる女性で話しやすい)とラブラブで、神殿の外に家を借りているシンディさん家にしょっちゅう外泊してるから私はその時に合わせて忍び込むようにしている。



「あ、やっぱり食べてない」


 アビたんの机に私が今日、あげたカップケーキが大事に置かれているのを見つけてしまいムッとした。


「アビたんは明日の朝、食べることッ」


 アビたんの鼻をつまんで暗示をかけておく。

 眠らせているアビたんの胸に手を置いて寄りかかってアビたんの匂いを補給しながらいつもの魔法をかける。

 アビたんの深い呼吸と心臓の音は聖女修業の疲れを取り払ってくれる。


「アビたん、今日、私が(つまづ)いたフリしたの気付いた?私はアビたんが必要以上に私をギュッて抱きしめてくれたのに気付いたよ。早く聖女担当になって会いに来て」


 アビたんとならイヤラシイこともいっぱいしたい。


「夢ってことにしてシちゃう?……なんちゃって」


 興味はあるけど、まだちょっとだけ恐い。

 アビたんは私より3歳も年上だから待たせてしまっているけど、もうちょっとだけ待ってね♡



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