第29話「生成、完了」
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上空。
空が、裂ける。
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黒い線。
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だが。
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次の瞬間には、それが“意味”へ変わっていた。
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巨大な輪郭。
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赤。
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黒。
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金。
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形が固定されていく。
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会場上空。
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東京湾岸。
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雲そのものが押し広げられる。
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報道ヘリ。
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カメラマンが叫ぶ。
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「映せ!!」
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「そのまま生で出せ!!」
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機体が揺れる。
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ローター音。
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ノイズ。
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その奥。
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“それ”が浮かんでいる。
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巨大。
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人型。
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だが、完全には定義できない。
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見る者によって、細部が違う。
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赤い装甲。
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黒い外殻。
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王冠のような頭部。
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巨大なマント。
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いや。
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翼。
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いや。
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煙だった。
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生放送。
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全国ネット。
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スタジオが沈黙する。
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司会者の声が止まる。
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「……え?」
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モニターへ映る、巨大存在。
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視聴率が一瞬で跳ね上がる。
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SNS。
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コメント欄が爆発する。
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「赤いロボットだ!!」
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「違う、怪獣だろ!?」
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「ゴジュラドンじゃ!!」
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「悪代官モチーフ!?」
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「魔王じゃねぇか!!」
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海外配信。
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「OH MY GOD」
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「MARSHMALLOW MONSTER!!」
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「DARK VADER!!」
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「ZANOS!?」
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「GIANT DEMON!!」
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「THIS ISN'T CGI!!」
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認識が一致しない。
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だが。
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世界中の人間が、同じ方向を見ていた。
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その瞬間。
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SYNC RATE : 100%
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地下監視室。
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警告音が止まる。
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逆に、静かになる。
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研究員が震える声で呟く。
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「……固定されました」
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モニター中央。
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■COGNITIVE ENTITY : CONFIRMED
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富野が息を呑む。
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チーフだけが、動かない。
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その顔から血の気が引いていた。
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「……世界規模で観測された」
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小さな声。
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「もう、“いなかったこと”にはできない」
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その瞬間。
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上空の巨大存在が。
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ゆっくりと、こちらを見下ろした。
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続く。




