第11話「共鳴、発動」
光が、走る。
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理由は分からない。
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音もない。
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だが確かに、“始まっている”。
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上松さやかは、息を整える。
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(……これ、戦闘じゃない)
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目の前の異形。
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少女と、男の顔。
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交互に揺れる。
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定まらない。
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四本の腕。
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血が流れ、空中で形を変える。
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刃。
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鎖。
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武器。
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だがそれらも、完全には固定されていない。
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(まだ“決まってない”)
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さやかは直感する。
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なら——
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「見せ方で、決める」
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小さく呟く。
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ビッグサイロが動く。
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ゆっくりと、一歩。
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地面を踏む。
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重い。
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だが。
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次の動きは、違った。
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軽い。
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跳ぶ。
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空中へ。
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「……え?」
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自分で驚く。
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理由がない。
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推進もない。
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それでも——成立している。
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(……いい)
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理解する。
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「これ、“そういう演出”でいいんだ」
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ビッグサイロの背に、光が広がる。
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羽のように。
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意味はない。
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だが——“見える”。
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それで十分だった。
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異形が反応する。
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血が噴き出す。
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空中で束ねられ、刃となる。
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飛ぶ。
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一直線。
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さやかは、動かない。
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視線だけを向ける。
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その瞬間。
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音符が生まれる。
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光の粒。
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回転しながら、前に出る。
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触れた瞬間。
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血の刃が、弾ける。
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「……いける」
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確信。
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次の瞬間。
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ビッグサイロが“ポーズ”を取る。
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片手を差し出す。
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もう片方を引く。
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構図。
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決め。
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そして——
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放つ。
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音符が連なる。
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旋律になる。
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軌道ではない。
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“流れ”。
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それがそのまま、異形へと流れ込む。
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命中。
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揺れる。
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顔が、ぶれる。
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少女。
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男。
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境界が、歪む。
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「……まだ足りない」
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さやかは静かに言う。
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(観られてる)
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確信があった。
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地下。
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避難したはずの観客。
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その“どこか”で。
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同じ光景が、共有されている。
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音はない。
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だが——
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“ライブになっている”。
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(なら)
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「もっと、見せる」
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ビッグサイロが回転する。
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空中で。
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あり得ない動き。
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だが成立する。
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光が尾を引く。
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残像が残る。
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それだけで、空間が“舞台”に変わる。
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異形の動きが止まる。
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ほんの一瞬。
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“見ている”。
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その隙。
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さやかは、踏み込む。
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距離ゼロ。
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手を伸ばす。
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音符が収束する。
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一点に。
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叩き込む。
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衝撃。
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ではない。
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“確定”。
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異形の顔が、大きく歪む。
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少女が、笑う。
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男が、睨む。
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二つの表情が、同時に存在する。
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そして——
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“境界が現れる”。
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正面。
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左右に分かれた顔。
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固定される。
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「……出た」
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さやかが呟く。
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(これが“形”)
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その瞬間。
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場面が切り替わる。
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■管制室
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「イベント登録、確認しろ」
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「……該当なしです」
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「スケジュール外か?」
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「いえ、ILS側のトリガーも反応していません」
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沈黙。
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「じゃあこれは何だ」
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誰も答えない。
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モニターには、戦闘。
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だが数値が合わない。
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サイズが固定されない。
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熱量が増減する。
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存在が“揺れている”。
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「……記録は?」
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「取得できません。途中から欠落しています」
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「またか」
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チーフが小さく息を吐く。
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「誰が起動した」
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「搭乗者は確認済みです。上松さやか」
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「適性者か?」
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「不明です。選定ログが存在しません」
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一瞬、空気が止まる。
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「……は?」
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「選ばれていません」
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「なのに、座っているのか?」
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「はい」
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沈黙。
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誰かが小さく言う。
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「……想定外じゃない」
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一拍。
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「想定“できない”現象です」
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チーフは目を細める。
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モニターの中。
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巨大な人型。
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光の羽。
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旋律の軌跡。
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だが——
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スピーカーから音は出ていない。
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それでも。
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波形だけが、存在している。
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「……なんだこれは」
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誰も答えない。
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ただ一つ。
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地下避難シェルター。
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その内部で。
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全観客の脳波が、わずかに同期している。
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■戦場
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異形が、動く。
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四本の腕が同時に振り下ろされる。
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血が爆発的に増幅する。
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だが。
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さやかは、もう迷わない。
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「——いくよ」
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ビッグサイロが、応える。
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光が収束する。
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旋律が、強くなる。
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戦いは、次の段階へ進む。
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続く。




