5.本かがり綴じ
今回は、手間暇がかかりそうなので、これは自分には無理だな、と思っていた本かがり綴じに挑戦です。
本かがり綴じの方法については、主に
「はじめて手でつくる本」 ヨンネ/著 株式会社エクスナレッジ
を参考にしました。
本かがり綴じについて紹介してる書籍は多いんですけど、意外に実際の糸のかがり方が載ってる書籍ってなかなかないんですよね。製本教室とかでは、教えてくれるみたいですが。
さて。最初に本かがり綴じについて読んだ時は、これは難しいし複雑すぎる。自分にできる訳がない、と思ったんですけど。
この前(ちょっと失敗しましたが)、コデックス装を作ってみたら、あれ? 糸でかがる方法って意外に難しくないかも。一つ一つゆっくりやっていけば自分でもできるかも、と思い、挑戦してみました。
作ってみた感想としては、やたらと手間暇はかかりますが、そんな言うほど難しくはないなぁと思いました。
ではでは、次から作成過程です。ちなみに、本になった時のサイズはB5で作りました。
まず、本体の素材です。
本かがり綴じは初めてなので、たぶん丈夫な紙で作ったほうが作業がしやすいよね?と考え、百均で購入したクラフト紙で作ってみることにしました。
紙の厚みが分厚すぎるので、完成したらノートというより、落書き帳になるかな?
クラフト紙のサイズがB4なので、紙を二つ折りにして、四枚(十六ページ分)をワンセットで折丁にしました。
全部で七十二枚を使用しました。総ページ数で二百八十八ページですね。
ふぅー、この枚数を折るのはたいへんだった。ちょっと多すぎたかもしれません。
あとから考えると、半分の枚数で良かったような……。まあ、今さらですね。
さて、その折丁ですが。紙を重ねているので、紙の厚み分、小口になる部分が山になってますね。
このままでもいいと言えばいいんですけど。このまま本にするとページが開きにくいので、小口部分をカッターでカットしましょう。
うーん、カッターの切れ味が悪かったのか、切り口がちょっとささくれた感じになっちゃいましたね。
整えるために、軽くやすり掛けをしました。
完璧に平らにするのはたいへんだし、少しだけなら凸凹してるほうが味があっていいかなと思ったので、やすり掛けは軽く行いました。
さて、次は折丁の背の部分にかがるための穴を空けます。今回は紙のまとまりを糸鋸で鋸引きして空けてみます。
というわけで、自作の万力にセットし、鋸引きの目印となる線を引きました。
おや、微妙に線が曲がっている気がする……。ま、まあ、いいでしょう。
で、鋸引きを行いました。
この後、折丁がはらばらになって順番が変わって穴の位置が微妙にずれたりすると困るので、折丁の順番がわかるように目印になる斜め線を引きました。
ただ、この鋸引きの作業ですが、実際やってみると戸惑いました。どこまで鋸を引けば全部の紙にちょうど良い穴が空くのかがよくわからなかったです。
一応、空けた穴をいちいち確認し、これでいいだろうと思うところまで鋸引きしたんですが、自作万力から外して広げてみれば一番内側の紙に穴が空いてない箇所が何箇所かありました。
残念。一番内側の紙に穴が空いたかどうかの目印として、内に色違いの紙を挟んでおけば良かったような気がします。
仕方ないので、穴が空いていない分は一つずつ千枚通しで穴を空けていきました。ふぃー、たいへん。
とりあえず穴空けまで終わったので、さあ、次が今回の中心の作業。糸でかがります。
当然のごとく、かがる作業に必要なかがり台なんて持っていません。
機能は最低限、見た目は不格好、でOKなら、だいたい三千円ぐらいで作れるのは作れますが……。
これ、作ったとして、また使う機会があるかな? どう考えても、本かがり綴じをする時以外使わないし、そんな何度も本かがり綴じってする? ねえ、する?
というわけで、多少不便ですが、今回は荷物置きに使っているメタルラックをかがり台の代わりにして作業します。
メタルラックに麻紐を括りつけ、折丁の束をセットすれば、かがるための準備完了です。あとは地道に糸をかがって行くだけです。
ちなみに、縦に張ってある麻紐が緩まないようにぴんと張るのがとっても大事。緩いとめちゃめちゃ作業がしづらいです。体重を掛け、紐が緩まない括り方でぴんと張りました。
で、かがっている途中はこんな感じです。
糸の通し方に興味がある方は、ご自分で調べていただければ……。済みません、言葉で説明できる気がしないもので。
使っている麻紐が安物のせいか、メタルラックに括りつける時も、かがっている最中も、やたらと細かい繊維が宙に漂って何度もくしゃみが出ました。
次行う時があれば、マスクしながら作業するか、麻紐の種類を変えるかしたほうが良さそうです。
それにしても、こういう作業してると、つい時間を忘れますね。気がついたら何時間も経っていて驚きました。
かがり終わった状態がこれです。
さて、次です。
今までどおりの角背でも全く問題ないんですが、かがり終わった本体を確認するに、これ、あんまり手間を掛けなくても丸背にできそうだなと思ったので、今回は丸背にしてみます。
えーと、なになに。何冊かの本で丸背の作り方の項目を読んでみると……。
丸み出し機?にセットして、金槌で叩いて丸みを出す。この時、まとめた折丁の力を逃がす?ように叩くのが大事? あと、耳だし?をする? 耳だしをしないと本の強度に問題が生じる?
ほう。なる、ほど? …………。うむ、さっぱりわからん。
まあ、いいや。わからんものは仕方ない。とりあえず、背が丸くなればそれで良し、ということで。
前に机を作った時に余った丸棒があったので、その上に本体部分を当てて手で背の部分を軽く叩いて丸みをつけました。
微妙にカーブが歪んでますね。まあ、いいや。
ここから先は、これまでとほぼ一緒です。ので、違うところだけを記載しましょう。
違うのは、①見返し用紙、花布、補強紙を使わない、②丸背なので背表紙の台紙も丸めないといけない、③せっかくの丸背なので飾りバンドをつける、です。
では、背に不織布を貼りますが、その前にかがる時に使った麻紐の残りが長すぎるのでカットしましょう。
あと、そのままの紐としてまとまってると貼った時に紐の圧み分、紙が凸凹するので、麻紐をほぐして厚みが薄くなるようにします。
不織布を貼った状態。このとおり、見返し用紙、花布、補強紙がないですね。
これが表紙の台紙です。今回台紙は厚紙を四枚貼り合わせて、厚さ2.0mmで作りました。なんか、厚いほうが雰囲気が出るかなと思ったので。
ただ、今回この台紙のサイズでいろいろミスりまして。
それに気づいたのが全部を完成させたあと。まさにあとの祭り。はあ、なんてこったい。
それはさておき。今回コーネル装にするので、台紙にその線と数字を記入してます。
一番目の失敗が背表紙のサイズでした。
丸めるので角背にする時よりも少し横幅を長めにとったんですが、それが必要なかった。
2mm長かったため、本体とくっつけた時に装丁に負担が掛かって破れる原因になりました。
まあ、これだけが原因じゃないんですけどね……。
背表紙につける革バンド代わりの飾りバンドは台紙の切れ端で作りました。
角張ってると見た目が良くないので、角を削って丸めています。
切り口の汚らしさが自分の不器用さを表してますね。うん、まあ、上から装丁を貼れば隠れるのでいいでしょう。
丸背に合うように、背表紙の台紙も丸棒に当てて形を丸めています。
とりあえず、台紙に装丁を貼ったのがこれです。
装丁には革を使わず、全部紙を使用しました。
背部分には飾りバンドがあるため、凸凹があります。
革や布なら素材自体が伸びて隙間なく貼ることができるんですけど、紙は伸びないのでなかなかきれいに貼れません。隙間もあるし、皺もできてます。
一部分接着し終わってから、次の一部分を貼る、というふうにすれば良かったかもしれません。
でも、なあ。さすがにそれは手間が掛かり過ぎる気がするし……。やっぱり、飾りバンドと紙装丁の組み合わせが間違いだったのかも知れません。
あと、背と表裏の表紙の間隔は狭いほうが雰囲気が出るかな?と思ったので(いや、雰囲気ってなに?)、4mmとしましたが、これが大大大失敗でした。
今回、台紙を今までよりも厚く、厚さ2.0mmにしています。
台紙を厚くするとその分、台紙同士の間隔を広くしないといけない。なのに、自分は狭くした。
はい、失敗確定ですね。
この間隔が狭いせいで、本の形にしたあと、表紙を開くとこの間隔部分に負担が掛かり、背表紙が広過ぎたことと相まって装丁の紙が少し破れました。
うぐっ、無念。台紙の角を丸めたほうが良かったかも知れません。次からは気をつけます。
とりあえず、完成させた状態がこちらです。
表紙を開いた見返しにあたる部分がこれです。
麻紐で少し凸凹して皺になっていますね。これは麻紐の部分に厚さを誤魔化す紙とかを貼るか、分厚い見返し用紙を使えばなくせるような気がします。
本当にできるかどうかは試してみないとわかりませんが。
あと、本かがり綴じだからか、背に糊を塗ってるからか、折丁の間にも隙間はありません。
今回、丸背にしているので、これまでに作った角背よりもクータが仕事をしてくれていますね。
掛かった費用ですが、クラフト紙七十二枚で千五百八十四円。
かがった糸はどのくらいの長さ使ったのか不明ですが、たぶん百五十円分くらい? 表紙が三百円くらい。その他材料費が百五十円くらいかな?
というわけで、合計二千二百円前後だと思います。
費用の大半がクラフト紙で作った本体部分ですね。いっぱいかがりたいからといって、枚数を多くしすぎた気がします。反省。
あと、本かがり綴じで作ったんだから、コーネル装じゃなくて、ドイツ装とかにしてもよかったかも……。
まあ、次の楽しみですね。
以上、本かがり綴じでした。




