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第294話 なんだこいつは

「我の傑作たちがあああああっ!? な、な、な、何なんだ、貴様らは!?」


 一当斎が頭を抱えて叫んでいる。


「かわいい赤ちゃんとその仲間たちだよ」

「貴様のような赤子がいるものか! も、もしや、平賀一族に伝わるとされる究極のカラクリ人形……っ!? 人間を凌駕する知能と戦闘能力を有するというが……まさか、それが完成していたというのか!? あれは眉唾物だったはず……っ!」


 またカラクリ人形ではないかと疑われてしまった。


「くっ!」

「ん、逃げた」

「追いかけるでござるよ!」


 一当斎が踵を返し、奥の部屋へと逃げていく。

 意外と足が速いと思ったが、どうやら靴に何らかのカラクリを仕込んでいるようだ。


 後を追うと、そこは長い廊下になっていて、廊下を滑るように走る一当斎の背中が見えた。

 そのまま廊下の先にある部屋へ。


「た、助けてくれっ!」


 彼が助けを求めたのは、赤い装束に身を包む忍者だった。


「女の忍者もいるのね」

「あれはくノ一でござるな」


 恐らく将軍が言っていた、この忍者組織のトップに立つという、くノ一だろう。

 装束の上からも、その妖艶な体形がはっきりと見て取れる。


『くノ一おっぱいきたああああああああああっ!』


 ん、けど、待てよ……?

 あの気配は、もしかして……。


「どうやら負けたようだのう?」

「や、やつらは化け物だ! 我の作ったカラクリ忍者たちが手も足もでなかった……っ!」

「ふふふ、所詮そのベースは下忍。たかが知れていたということか」

「だがお前は別格! 元より最強の存在であったお前を、我がありとあらゆる技術を費やし、カラクリ化させた! お前さえいれば、他の忍者など不要! いずれ我らでこの世界を支配できるだろう!」


 一当斎はこちらを振り返り、勝ち誇った顔で叫ぶ。


「ククク、ハハハハハッ、今度こそ終わりだ! 彼女は伝説の忍・服部半蔵の血を引き、この忍者集団をまとめ上げた最強のくノ一……ということになっているが、その正体は――むぐ……っ?」


 くノ一がいきなり一当斎の首を掴んだかと思うと、そのまま持ち上げた。

 目を見開きながらバタバタと暴れる一当斎。


「ん、仲間割れ?」


 何をしているのかと思っていると、くノ一が顔を隠していた布を破り捨てる。

 その瞳は赤く、肌は青みを帯び、そして額に一本の角が生えていた。


「やっぱり女型の魔族か」

「女型の魔族?」

「うん、魔族にはそもそも性別がないんだけど、見た目が女性っぽいケースがあって、それを女型と呼んでるんだ」


 その女型魔族は、一当斎の首を締め上げていた手を放す。


「げほげほげほっ……な、何を……?」

「愚かな人間よ。まさか、わらわが人間ごときの野望のために動くとでも思ったか?」

「なんだとっ?」

「そなたの話に乗ったのは、ただ利用価値があると思っただけだ。しかしカラクリについては、すでに完全に理解した。もはやそなたは用済みだ」


 詳しいことはよく分からないが、あの女型の魔族は、カラクリの技術を得るために一当斎を利用していたらしい。


「人間とは根本から頭の出来が違うからの。わらわがいれば十分」

「き、貴さあぎゃっ!?」


 女型魔族に蹴られ、一当斎は壁際まで転がった。


「相変わらずそなたは脆弱すぎるのう。後でわらわが直々にその身体をカラクリ化して進ぜよう。そうすれば昼夜を問わず、ずっと研究開発に没頭することができるぞ? 無論、永遠にわらわの手足として従順に働くよう、脳の方も弄らせてもらうつもりだがな」


 女型魔族がこちらを向く。

 俺は深々とため息を吐いた。


「はあ……魔族じゃ意味ないんだよねぇ」

「……何の話だ?」

「いや、せっかくのくノ一で、しかも良い胸してるなぁって思ったんだけどさ……魔族のおっぱいは硬くて全然おっぱいじゃないんだよおおおおおおっ!! さっきちょっと期待したのにさ! 僕の期待感を返してくれ!」


 俺の心からの訴えに、女型魔族は「なんだこいつは」という顔をした。


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外れ勇者1巻
4月24日発売!!!
― 新着の感想 ―
そういや最近魔族出ないなあと思ったらここで来るんか 人間が弱体化しとるからテコ入れ始めてる様にも見えんでも無い
魔族とまぐわったことがあるんかよ……
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